文科省　自殺者予防教育へ　下地づくりの教育重視を　モデル構築に向けて議論

（国 2024-03-18付）

　文部科学省は１５日、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議の第３回会議を開き、自殺予防教育のモデル構築に向けて議論した。近日中にモデルとなる教育委員会の公募を開始。６年度末に全国の学校で活用できる実践的な教育モデルを作成する。

　５年の児童生徒の自殺者数（暫定値）は５０７人と過去最多だった４年の５１４人に続き対策が急務となっている。

　会議では自殺予防教育のモデルについて、平成２６年に作成した「学校における自殺予防教育導入の手引」に基づき「早期の問題認識」「援助希求的程度の促進（ＳＯＳの出し方に関する教育）」の目標達成を目指す方針を確認した。

　委員からは安全・安心な校内環境など自殺予防教育の下地づくりや、生徒指導提要に基づく発達支持的生徒指導の重要性が指摘され「日々の授業で困ったことや助け合ったことを話し合い、安心して話せる状況を学校でつくることが重要」と意見した。

　ＩＣＴを活用して心身の状態を把握する「こころの健康観察」導入に向けては、リスクのある児童生徒を専門機関へとつなげる適切なフォローアップ体制や、実例を踏まえたマニュアルを整備・周知する必要性が指摘された。

　学校の人的体制も課題として挙がり「現在の体制で実施できるか疑問。スクールカウンセラーの常勤化が難しければ、週の勤務日数を増加するなど対応が必要」と指摘した。

　特定の市販薬を過剰に摂取する「オーバードーズ」の自殺未遂者の増加を懸念する声も上がり、薬物乱用防止と自殺予防教育を合わせて実施する必要性が指摘された。

(国 2024-03-18付)