教師人材確保に向けた奨学金返還支援　大学院修了者対象に　学部生　制度改正含め検討　文科省

（国 2024-03-21付）

　文部科学省は１９日、中教審初等中等教育分科会教員養成部会で、優れた教師人材の確保に向けた奨学金返還支援の在り方に関する議論のまとめを示した。現行制度を活用し、教職大学院を修了し教師となった人材を中心に返還免除を実施すべきとした。例えば、６年度実施の公私立を含めた教員採用選考等の受検者から適用できるよう具体化することが望まれるとした。一方、学部段階での返還免除については制度改正が必要となるため、引き続き検討が必要とした。

　近年、教育現場が抱える課題の多様化・複雑化や、臨時的教師の配置需要増加、採用倍率の低下などの課題が顕在化。①教職の高度化に資する質的向上②教員志願者拡大に向けた量的確保―の観点から、学校の働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制充実、教師の育成支援を一体的に進める施策の一環として、奨学金返還免除制度の検討が求められていた。

　中教審教員養成部会での議論のまとめをみると、令和２年度から導入されている高等教育の就学支援新制度を活用した速やかな実行として、当面の対象を教職大学院を修了し教師となった人材を中心に返還免除を実施すべきとした。

　具体的には、採用選考等に合格して採用される人材を対象とする方向性を示した。例えば、６年度に実施される公立・私立を含めた教員採用選考等の受検者から適用できるよう、速やかに具体化することが望まれるとまとめた。

　また、高度で多様な専門人材確保の観点から、教職大学院以外の大学院を修了し教師となる人材を含めるべきとした。その際、教職志向の高い学生を対象とするために、学校等での実習を通して学校現場での課題を把握し、解決に資する学修に取り組んでいることなどを条件に付すことも検討する必要があるとした。

　一方、学部段階での返還免除については、日本学生支援機構による奨学金制度では返還免除の仕組みがないため新たな法制度が必要となるとし、引き続き検討が必要とした。

(国 2024-03-21付)