中教審部会　処遇改善で議論　調整額引き上げへ賛意　残業代支給に否定意見多数

（国 2024-04-05付）

　中教審の質の高い教師の確保特別部会は４日、第１１回会議を開き、教員の処遇改善の在り方を議論した。時間外勤務手当を新たに支給する考えに関しては、教師の職務の特殊性や実現性から否定的な意見が多く、現行の給特法の基本的な枠組みを維持した上で教職調整額を引き上げる方針に賛成する意見が多く上がった。

　給特法では教員の職務と勤務態様の特殊性から時間外勤務手当は支給せず、給料月額の４％を教職調整額として支給。教員不足が深刻化する中、同部会は昨年６月から学校の働き方改革や教員の処遇改善の在り方の議論を進めており、４、５月に一定の方向性を示す。

　時間外勤務手当を支給する案に関しては、高度専門職である教師の職務性や長時間勤務を助長する懸念などから否定的な意見が相次ぎ「働き方改革のブレーキも予想される。教師の仕事を勤務の内と外に分けて考えることは極めて難しく、そもそもすべきではない」「現在の学校の管理体制で管理職が個別具体に承認することは困難」と意見。

　都道府県が給与を負担する県費負担教職員制度では市町村教委のインセンティブが限定されるとし、効果を疑問視する意見も。

　教職調整額の引き上げに関しては、多くの委員が賛意を示し「勤務実態にふさわしい水準に引き上げるべき」「働き方改革の工夫改善をしっかりと進めて処遇改善を担保し、一体的に進めることが重要」と意見。教員勤務実態調査（確定値）において長時間勤務の傾向が見られた学級担任、教務主任、学年主任の処遇改善の必要性が指摘された。

　超勤４項目の対象を拡大する案に関し、時間外勤務の増加が懸念され「働き方改革や定数改善に一体的に取り組み、検討しなくても良い職場環境が求められる」との意見が上がった。

(国 2024-04-05付)