中教審特別部会の審議素案 教職調整額 10%以上に 若手教師支援へ新設職(国 2024-04-23付)
中教審「質の高い教師の確保特別部会」は19日の会議で、教員の処遇改善や人材確保の総合的な方策を整理した審議のまとめ(素案)を示した。月額給与の4%としている教職調整額を10%以上に引き上げるほか、学級担任手当や若手教師の支援を担う新たな職の創設、小学校3・4学年の教科担任制の推進などの改革案を盛り込み、超過勤務の抑制や運営体制の整備と一体的に推進する。
同部会は昨年5月に文部科学大臣の諮問を受け①働き方改革の加速化②学校の指導・運営体制の充実③教師の処遇改善―の論点を審議した。
教員を取り巻く環境が大きく変化する中、給与の改善や教員の定数改善などの各施策を連動させ、教師の養成・採用・研修の改革と教員が学び続けるための環境を整備する。
時間外在校等時間の目標は「月80時間を超える教師をゼロ」を最優先とし、全ての教師が月45時間以内に、将来的には月20時間程度まで縮減することを目指す。
働き方改革の実効性向上を図るため、全ての教育委員会が働き方改革の現状や改革の進捗状況の公表などを着実に行う仕組みを検討する。
個別具体の施策をみると、学びの質向上と教員の持ち授業時数軽減の観点から、小学校中学年における教科担任制を推進する方針を示した。
若手教師へのサポートや学校内外との連携・調整機能を充実させるため、教諭と主幹教諭の間に新たな職を創設。学校のマネジメント機能の強化、心理・福祉等の専門性を有する教師が教育相談や特別支援教育コーディネーターを担当する教員も対象とする予定で、主任手当を支給する教諭より高い処遇とすることを想定している。
不登校児童生徒への対応強化に向けて、学びの多様化学校における教職員の配置充実など支援を拡充するほか、生徒指導担当教師を全中学校に配置する。
健康課題の多様化・複雑化や食育指導の重要性に鑑み、養護教諭や栄養教諭の配置基準の引き下げを検討。副校長・教頭や事務職員の複数配置基準に関しても引き下げを検討する。
中学校の35人学級に関しては小学校における効果検証を踏まえ、学校の望ましい教育環境や指導体制を構築する。
教師の処遇改善に向けては、一律で支給されている義務教育等教員特別手当を職務の負荷に応じた支給方法に見直し、学級担任の手当額を加算する。管理職手当も改善し、高いマネジメント能力を有する人材を早期から登用する必要性を示た。
次回会議で審議のまとめ案を作成し、5月中に文科大臣に答申する。教職調整額の引き上げに伴う法改正は7年以降となることが予想される。
次期学習指導要領、標準授業時数、教員免許・教員養成の在り方に関しては、中教審の別の部会で引き続き議論する。
(国 2024-04-23付)
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