初等教育研 札幌算数支部が研究大会 納得解に迫る学び目指して 筑波大附属小・夏坂副校長が授業
(札幌市 2024-03-01付)

初等教育研算数研究大会
公開授業

 初等教育研究会札幌市(算数)支部(支部長・西村貴史札幌市立北の沢小校長)は2月17日、札幌市立幌南小学校で第20回研究大会を開いた。「協働的な学びをつくる価値を問う」をテーマに、筑波大学附属小学校の夏坂哲志副校長らが公開授業。問いの共有化や他者の考えに触れる活動などを通して、納得解にたどり着く児童の姿を引き出す授業の在り方を追究した。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、参集形式での開催は元年度以来4年ぶり。道内の算数科教員ら約160人が参加した。

 大会テーマは「協働的な学びをつくる価値を問う」。コロナ禍によって協働的な学びをつくる困難さに直面したことを踏まえ①問いの共有化②友達の考えに寄り添う―の2点を軸に、教師個々の考え方をあらためて考える契機とすることをねらった。

 開会式に続いて、授業公開Ⅰでは、幌南小の田中尚宏教諭による4年3組「□□×4の計算~答えの十の位が0になる場合」の授業後、研究協議会Ⅰを開いた。

◆幌南小5年「速さ」

 授業公開Ⅱでは、夏坂副校長が5年2組「速さ」の授業を担当した。

 研究主題は「“時間”“道のり”“速さ”の関係をどのように理解していくか」。本時は単元「速さ」の導入として考案したものをアレンジしたもの。目標を①速さを比べる方法を振り返る②秒速の求め方を確かめる③等速運動する場合の時間と道のりとの関係を確かめる―と設定した。速さの学習を終え、公式が既習事項となっている児童たちが、問題にどのように関わっていくかを位置付けた。

 夏坂副校長は冒頭、直線の両端に配置されたキツネとタヌキが、中央にある木に向かって等速運動する動画を紹介。キツネの方が少し速いことを視覚的に確認させた上で「同時にスタートすると、どこでぶつかるか予想しよう」と投げかけた。

 児童たちは、木の左側でぶつかると予想。その理由を約1分間ペアで話し合ったあと「タヌキの方が遅かったので、(タヌキ側の)木の手前でぶつかる」などと発表した。

 再度、理由を問うと「タヌキは木を越えていないから」「キツネの方が速いので、木の右(きつね側)でぶつかることはない」などと発言した。

 夏坂副校長は、児童たちにストップウオッチで計測するよう促し、キツネとタヌキが5秒間動いたことを確認させると「この結果を見て、キツネの方が速いと言える?」と述べ、再度ペアで意見交換。児童たちは「同じ時間でも走る距離が違う」「5秒間で長い距離を進んだキツネの方が速い」と答えた。

 夏坂副校長は「同じ時間で進む距離が違うならば、どこでぶつかる?」と問いかけ、キツネとタヌキ、木の位置を示したプリントを配布。タヌキが5秒で10㍍、キツネが5秒で20㍍進むことを確認させた。

 ある児童が「1秒で何㍍進むか知りたい」と発言。児童たちから「道のり÷時間」で秒速が導き出せることを引き出した。その上で、キツネとタヌキが1秒ごとに進む場所に印を付けるよう促し、スタートから4秒後にぶつかることを確かめさせた。

 授業後の研究協議会Ⅱでは、夏坂副校長とパネリスト3人が意見交換。夏坂副校長は「(実物投影機を使う場合は)書き終わったものを見せるよりも、書く過程を見せたい」などと述べた。

 机間指導中、ある児童が「キツネとタヌキが1秒間に進む距離は合計で6㍍。端から端までが24㍍だから、24÷6で4秒後にぶつかる」と説明したと紹介。「“これを求めるためにこういう計算をするんだ”というイメージと式を結び付けて、自分の言葉で説明できることが大切。その途中に他者と関わる協働的な学びがあるべきだ」と説いた。

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初等教育研算数研究大会・夏坂副校長
夏坂副校長

(札幌市 2024-03-01付)

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