北理研札幌支部 授業創造研修会 新たな教材活用に可能性 美しが丘小・金吉教諭の授業議論
(札幌市 2024-03-04付)

北理研授業創造研
より良い授業を目指し多くの意見が上がった

 北海道小学校理科研究会(北理研、松田諭知会長)札幌支部は20日、札幌市立美しが丘小学校で第6回授業創造研修会を開いた。同校の金吉柾弥教諭による4年1組「水のすがたと温度」(児童数21人)の授業後に行われた討議では、水蒸気を効率良く集められる弁付きの袋を教材に活用したアイデアを高く評価。一方で、児童たちの気付きを共有する場面の設定や、ムーブノートの活用のタイミング、教師の問い返しなど、より良い授業創造に向けて多くの意見が上がった。

 若手会員が主体となってつくり上げた授業をもとに討議し、教員自らの資質・能力や授業力の向上を図ることを目指して、毎年2月に開催しているもの。

 この日は、会員15人が参加。金吉教諭ら授業創造部会のメンバーが作成した、4年生「水のすがたと温度」の授業を題材に討議した。

単元は13時間扱い。単元を通して水の体積に着目しながら、水の姿と温度の関係を追究する子どもの姿の育成を目指した。

 構成をみると、1次(5時間)では「日常生活を基盤」に、水が氷になることで体積が増えることを確認。2次(4時間)では「科学的な深まり」として、水が100度近くで沸騰すると量が少なくなることを体験させた。3次(4時間)では、沸騰する時に生じる泡の正体を追究させ、水蒸気になると体積が大きくなることに気付かせる扱いとした。

 授業は12時間目。沸騰した時に出る泡を弁付きの袋に集める実験を通して、泡の正体が水であることに気付き、水の状態変化と体積の関係について考える授業を展開した。弁付きの袋は、周りの空気が入らず、袋から空気や水蒸気が漏れない仕組み。児童たちは、漏斗にストローをつなげ、反対側に袋を付けて泡を収集。袋に集まった水を袋ごと再度温めるなどして、状態変化を何度も確かめた。

 授業後の討議では、会場校の佐々木綾子校長があいさつ。北理研が取り組む若手による授業創造が「これからの時代にふさわしいもの」とたたえ「討議の内容を校内に持ち帰り、教員全体の刺激にしたい」と期待した。

 討議の柱は①単元構成②他者との関わり―の2点。

 参加者は「教材が非常に面白い。一方で、温度と状態変化、量など、考えさせるポイントが様々あった」「児童たちが何をしたいのかが気になった。泡を集めたあと、どのように反応するかが楽しみ」「ムーブノートのメモを活用するタイミングを考えたい。(この日の)終末ではなく、より早い場面で活用することで、全体で考えを共有することができるのでは」「児童が温度について語る場面も必要だと感じた」「袋が膨らんだりしぼんだりする変化を観察した児童に問い返す関わりも必要か」などと意見を述べた。

 助言者を務めた平岸西小学校の越野宗丈校長は「50分授業のうち40分を実験に充てていた。児童たちが議論する場面もほしい」「ムーブノートの活用はあくまで目的のための手だての一つ。何を書くべきか、何を交流するかを浮き彫りにさせておく必要がある」などと話した。

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北理研授業創造研の教材
水蒸気を効率的に集められる弁付きの袋を教材に活用

(札幌市 2024-03-04付)

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