オホーツクで部活動地域移行研修会 広域連携の在り方探る 木古内町など先進地の取組紹介(道・道教委 2024-03-07付)
道教委オホーツク管内の部活動地域移行に関する研修会
【網走発】道教委は2月27日、オホーツク管内の部活動地域移行に関する研修会をオンライン開催した。地域移行の先進地域である木古内町および長野県佐久穂町への現地視察を終えた置戸町教委の平野毅教育長が両地域の取組内容について紹介。広域連携を見据えた地域移行の在り方を探った。
研修会は、自治体間における広域連携を想定した部活動地域移行の在り方について、先進地域での取組を分析し、今後の方策等を検討することを目的としている。オホーツク教育局が主管。
当日は、管内市町村教委の教育長や部活動地域移行担当者ら約30人が参加した。
はじめに、オホーツク局の田中智則教育支援課長が、部活動地域移行の目的などについて説明した。全道的に少子化が加速化していることに加え、教員の負担軽減などの観点から、これからは「学校を含めた地域全体で、子どもの多様なスポーツ・文化芸術活動の体験機会を確保することが必要」と強調。その上で、地域移行を円滑に推進していくためには「教育委員会と首長部局が緊密に連携・協力し、それぞれの地域の実情に応じた取組を推進していくことが重要」と呼びかけた。
続いて、管内教育委員会協議会教育長部会長を務める置戸町教委の平野教育長が、1月22~24日にかけて現地視察を行った木古内町や長野県佐久穂町の地域移行の取組について解説した。
はじめに、本年度、野球とバスケットボールで実証実験を行った木古内町を含む渡島西部4町の取組について紹介。①指導者の確保②移動手段の確保③活動場所の確保―などを検討すべき課題として取組をスタートさせた。
①では、野球の外部指導者を旭川市在住者1人にオンラインで、バスケットの指導者を函館大学の学生5人に依頼。人選は、スポーツ指導者のマッチング事業を展開している㈱BUKARUに選定してもらい、活動日は、顧問の指導メニューに外部指導者が肉付けする形で合同で指導。実証の結果「学生指導者は指導の質に差があること」「良い指導者でも卒業後に解消してしまうこと」「金銭的課題(謝礼等)が大きいこと」などが明らかになったことを伝えた。
②では、各町で運行している“福祉バス”を活用し、他町の生徒にも利用を可能としていることを紹介。平野教育長は「練習拠点を各町が持ち回りで用意し、各町のバスをローテーションで運行することも可能」と有効活用していく可能性を示唆した。
③では、従来から合同部活動を実施していたことから、その枠組みを活用し、野球は知内町、バスケットボールは福島町で行う拠点校方式を採用。今後も継続していく場合は、持ち回り開催を検討していく方針であることなどを示した。
このほか、移行後の財源確保や受益者負担の在り方については、いまだ検証が不十分としつつも、運営費の大部分は行政負担の可能性があり、地域クラブの場合は、受益者にも一定程度の負担があり得ることなどを伝えた。
つぎに、長野県南佐久郡6町村(佐久穂町)の取組について紹介した。
4年度から実証事業を展開してきた同地区では、5年度からの新たな取組として、佐久穂町教委の中に事務局を設置し、統括コーディネーターを新規に任用。コーディネーターの役割として、運営方針や予算の執行状況などについての会議を定期的に主催しているほか、指導者への謝金や旅費の支出など負担金の事務手続きを担っていることなどを伝えた。
また、もう一つの新たな取組として、6町村からの負担金で事業を運営していることを挙げた。児童生徒や保護者からの地域移行への理解が進んだことに加え、各町村の教育長が一体感を持って各町村長を説得してきたことが6町村の負担金による運営につながったことを示した上で、平野教育長は「自主財源による地域クラブの試行例としては良いモデルと痛感した」と話した。
最後に、両事例の共通点として「できることから始めている」ことを挙げ、オホーツク管内でも「まずは実証を行い、課題を分析することから始めていくことが大切」と呼びかけた。
このあとの協議では、グループに分かれ、広域連携による部活動地域移行の今後の方策などについて意見を交換した。
(道・道教委 2024-03-07付)
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