斜里町6年度教育行政執行方針 給食費の負担軽減検討 部活動支援へ検討本格化(市町村 2024-03-27付)
岡田秀明教育長
【網走発】斜里町教委の岡田秀明教育長は、3月上旬に開会した5年度3月定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。物価上昇に対応した給食費の改定とこれに伴う増額分の負担軽減を検討する考えを示したほか、学校部活動の外部講師の確保では、町スポーツ協会等の関係団体との協議を継続するとともに、地域で部活動を支える仕組みづくりの検討を本格化する方針を示した。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼教育力の向上
豊かな心の育成では、道徳教育、多様な体験活動、キャリア教育、人権教育、ジェンダー教育などのさらなる推進によって、コミュニケーション能力の育成や自己肯定感を高める取組を進める。
また「いじめは絶対に許されない」との認識を徹底し、児童生徒同士の心の結び付きを深める学校運営を目指すほか、特色ある教育活動を支援するため、斜里中学校と斜里ジュニアバンドの楽器の更新・修繕を継続する。
基礎学力の定着による学力向上では、中学校の「35人以下学級」維持のための臨時教員や教育活動支援講師およびアシスタント・イングリッシュティーチャーを継続配置するほか、1人1台学習用端末を活用した効果的な学びを促進し、放課後学習の定着を図る。
授業力の向上では、主体的・対話的で深い学びの定着を実現するため、教員のための多様な研修機会の充実を図る。また、指導主事を継続配置することで、学校と密接に連携した授業改善に取り組む。体力の向上と健康づくりでは、学年や性別によって得意能力に差が生じているため、毎年度実施している体力テストなどの結果を踏まえた効果的な取組を実施する。また、運動習慣づくりや、虫歯保有率の減少を目指す取組などの健康教育を推進する。
個別最適な学びの実現では、特別支援教育の充実を図るため、支援員を継続配置するほか、各学校の通級指導教室開設に向けた支援を行う。また、学校と保育所等、関係機関との連携を強化し、児童生徒の学習環境の整備を図る。
学校ICT教育の充実では、1人1台学習用端末の有効活用によって児童生徒の情報活用能力の育成を図るため、学校ICT支援員を継続配置し、教員のスキルアップを支援する。また、電子黒板などの導入によって、ICT環境の整備を進める。
▼教育環境の充実
困り感に寄り添う体制強化では、多様な悩みに対応できる相談体制を整備するため、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどの専門的な人材の確保を図る。特に、いじめや不登校への対応を重点課題とし、教育支援センターの整備などに関し、関係機関等と連携して取り組む。学校の働き方改革推進では、教員の時間外在校等時間の縮減を図る取組を積極的に実施し、スクール・サポート・スタッフの継続配置のほか、学校部活動の円滑な地域移行のため、地域関係団体等と協力して検討協議会を設置し協議を進める。また、学校業務のDX化による働き方改革を促進する。
学校施設・備品の計画的な整備では、朝日小学校長寿命化改良事業のほか、全ての町立学校に冷房設備を整備する。また、知床ウトロ学校と斜里中の老朽化した学習机・いすおよび、斜里小学校と朝日小学校の遊具の更新を実施する。教職員住宅の計画的な整備では「教職員住宅管理計画」に基づいた適切な修繕を実施する。また、民間借り上げ方式を継続し、住宅の確保に努める。
均等な教育機会の確保と安全・安心な通学環境の構築では、就学格差が生じないよう要・準要保護児童生徒への支援を継続する。また、通学路の安全対策やスクールバスの安全運行について、関係機関等との円滑な連携を図る。
おいしい給食の安定的な提供では、物価上昇に対応した給食費の改定と、これに伴う増額分の負担軽減を検討する。新センターについては、公設民営方式による整備を図るため、プロポーザル方式による事業者選定を実施し、本年度中に基本構想を策定する。
▼学校・家庭・地域がつながる教育の推進
地域と共にある学校づくりでは、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の取組の充実を支援し、地域コーディネーターの全校配置を目指す。また、世界自然遺産「知床」の地域資源を生かした学びなど、ESDの実践を進める。学校間・教育機関等の連携強化では、幼保小中および小小の連携によって、成長段階に合わせた円滑で一貫した学びのための取組を進める。また「生きる力」を育むため、社会教育機関との連携を図る。家庭・地域との連携と情報共有では、学校からの情報発信を迅速かつ効率化し、効果を高めるため、ICT化を進める。また、家庭や地域との連携によって情報モラル・リテラシー意識の向上を図る。
斜里高校の魅力化促進では、総合学科の魅力づくりのための授業や、町内外の遠距離通学者への支援のほか、斜里高振興会への助成を通して、進学やキャリア・アップ、部活動の全国大会出場および学習用端末整備などの支援を継続する。また、町の会計年度任用職員として、地域コーディネーターを配置し、地域や関係団体等との連携による支援を継続することで事業効果の向上に努める。
▼健康づくりと運動の推進
世代を問わないスポーツ機会の提供では、少年期から高齢期・障がい者等、スポーツを通じた交流と、幅広い世代がスポーツでつながる活動を推進する。子どもの体力・運動能力の向上を目的とした「わんぱく教室」「競技別講座」を継続するほか、共生社会の推進を目指し、障がい者スポーツ教室やニュースポーツの体験会など、より多くのスポーツ機会の提供を通して、スポーツによる地域づくりを進める。
学校部活動の外部講師の確保では、町スポーツ協会等の関係団体との協議を継続するとともに、地域で部活動を支える仕組みづくりの検討を本格化する。
▼読み・知り・出会う図書館の運営
町民と築く魅力的な施設づくりの推進では、子どもたちの新たな学習の場づくりとともに、将来への夢や希望を一緒に考える機会を提供することを目的として、放課後の活動室となる「図書館みらいキャンパス」を設置するほか、道外の大学生や社会人と対話し、新たな価値観や気付きを創造する機会として「斜里まなび場」の運営事業を進める。効果的な読書活動の推進では、幅広い世代を対象に、本と親しむ機会を積極的に創出していく。具体的には、各施設および乳幼児・高齢者への定期配本事業、乳幼児が本に触れ、親しむブックスタート事業、親子向け読書セット貸出事業のほか、小中学生が図書館活動を体験し、地域における読書活動の中心となる「子ども司書」を育成する講座などを開催する。
(市町村 2024-03-27付)
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