苫前町 6年度教育行政執行方針 苫前中の課題解決へ 支援員等配置し負担軽減
(市町村 2024-03-27付)

苫前町教育長開発法起
苫前町教委・開発法起教育長

 【留萌発】苫前町教委の開発法起教育長は、3月上旬開会の第1回町議会定例会で、6年度教育行政執行方針を説明した。5年度に古丹別中学校と統合した苫前中学校における課題の解決を盛り込んだほか、スクール・サポート・スタッフや学習支援員を配置し、教員の負担軽減を目指すとしている。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

 本町の特性を生かした教育を進めるためには、地域住民が主体的に学校運営に関わることが不可欠。そのため、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)を中心として、地域と学校を結び付けた開かれた学校づくりに取り組む。

 新しい時代に必要となる資質・能力を育成するため、全国学力・学習状況調査の結果を系統的に分析し、各学校における教育活動の検証を行い、教員の指導力を高めながら、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進める。

 さらに、英語検定や漢字検定受検料の助成によって、児童生徒の学習意欲を高揚させるとともに主体的な学習習慣を定着させることで、基礎学力の底上げに努める。

 ICTを活用した取組では、令和の学びのスタンダードとなった1人1台端末を積極的に活用しながら、科目横断的な視点から情報活用能力の育成を図っていく。また、デジタル教科書など新たな教育ツールを検証し、発達段階に応じて、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びや協働的な学びの一体的な充実を目指す。

 国際理解教育では、英語指導助手を活用し、小学校では発達段階に応じたコミュニケーション能力を育み、中学校で実践的な英語力を習得させることで、グローバル社会で生きる能力の基礎を培う。

 特別支援教育では、対象となる子どもやその保護者が、乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目のない支援を受けられるよう特別支援教育地域連携専門部会を核として、保健、医療、福祉等との連携体制の構築を進める。

 近年増加傾向にある不登校への対応として、子ども同士の良好な人間関係、子どもと教員との信頼関係を確かなものとし、全ての子どもが安心や自己有用感を得られる学校づくりを進めるとともに、オンラインによる学習支援体制を充実し、不登校の子ども等への学習機会の確保に努める。

 また、町いじめ防止基本方針に基づき「いじめは、しない、させない」を合言葉に指導体制を充実させ、いじめの未然防止や早期発見・早期対応に努める。

 これら不登校やいじめなどへの対応として、巡回型のスクールカウンセラーを配置し「困り感」を相談できる環境をつくり、さらにスクールソーシャルワーカーを活用して、学校だけではなく地域で課題解決に当たる体制を構築する。

 5年度に統合した苫前中学校では、現在、生徒たちは落ち着いた状態で楽しく学校生活を送っているが、実際に学校運営をしていく中では、ソフト・ハード面での課題が少しずつ見えてきた。教職員をはじめ関係者と調整を重ねながら、課題解決を図っていく。

 学校教育の充実には、教職員の資質向上は不可欠。教育者としての指導能力はもちろんのこと、子どもや保護者、地域から信頼される教員を育成するため、研修機会を充実するとともに、法令順守はもちろん高い倫理観や規範意識の保持、ハラスメントの防止、適正な情報管理など服務規律の徹底に努める。

 教員の働き方改革では、ICT等を活用して業務効率化を引き続き進めるほか、校務を補助するスクール・サポート・スタッフ、授業の補助を担う学習支援員を配置し、教員が教育活動に専念できる環境を整え、子どもと向き合う時間を充実できるよう支援体制づくりを進めていく。

 部活動の地域移行に向けては、昨年立ち上げた地域部活動検討委員会を中心に検討を重ね、本町の実情に沿った体制づくりを慎重に進める。

 苫前商業高の6年度の新入学生は、関係者の尽力によって二桁が見込まれる状況となり、道教委の公立高校配置計画の再編整備の対象から免れるものと期待されるが、時勢の少子化による中学卒業者数の減少や通信制高校の増加に伴う進路先の多様化など、今後とも生徒確保には困難を期することが予想される。このため、これまでの各種支援策を継続するとともに、全国への生徒募集活動を強化し、学校の魅力化とその発信に支援を行っていく。

 地元生徒への支援を拡充するとともに、3年間を通じたカリキュラムでの全面実施となる地域学「とままえ学」は、町を知る活動支援として地域の人材や産業などを活用できる体験機会を提供するほか、地場産品を生かした商品開発についても支援を行うとともに、自転車ツーリングや苫カフェなど地域と連携した様々な活動に対して継続的に支援し、地域から愛される学校づくりの手助けに努める。

 また、町外からの入学生徒に対応するため、若者交流センターの管理運営を適切に行い、受け入れ体制の安定化を目指す。

(市町村 2024-03-27付)

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