北翔大と平取町が包括連携協定 アイヌ文化知る教員に 平取高との交流・進学も
(市町村 2024-03-28付)

北翔大と平取町が包括連携協定
協定書を手にする遠藤町長(右)と山谷学長

 【苫小牧発】北翔大学(山谷敬三郎学長)と平取町は2月下旬、同役場で包括連携協定締結式を挙行した。アイヌ文化の盛んな同町で学び、アイヌの子どもたちが少なくない道内で教員となる学生にアイヌ文化理解を進めるほか、平取高校等と交流し同大への進学を一層促す。札幌圏での教育実習がほとんどの学生たちにへき地校での現場体験の機会ともする考え。

 同大の自治体との包括連携協定は7例目。道、江別市などと結んでいるが、自治体全体との協定は初めてという。

 協定締結式には同大から山谷学長、佐々木浩子副学長ら6人、町からは遠藤桂一町長、松田拓美教育長ら4人が出席。山谷学長と遠藤町長が協定書に署名・押印し協定を締結した。

 あいさつに立った遠藤町長は「人口4500人の小さな町だが、アイヌの文化施設が多数残り、イベントも盛んに行われている。こうした特色を大学で生かしていただければ」と述べた。

 また存続の危機にある平取高について「生徒と交流していただき、魅力化を進めるとともに進学の特別枠などをつくっていただければ」と期待した。

 山谷学長は「本学には定員の120%の学生が入学しているが、18歳人口の減少は看過できない」とし「これまで平取高からは18人が本学に進学しており、より関係を深めたい」との考えを示した。

 また「アイヌの子どもたちが少なくない本道で教師になる者にとって、アイヌ文化を理解しておくことは大変重要」とし、多くのアイヌ文化が残りアイヌの子どもたちが学び、催しも盛んな町で学ぶ意義を述べた。

 同大の教育実習先は札幌圏がほとんどで、へき地の現場を知る機会としても重視。学生と児童生徒が交流する場や実習を行う場を設定し「すてきなお兄さん、お姉さん」として教員の魅力を伝えることも考えている。

 具体的な取組としては、学生が平取高の授業に入ったり、学生と生徒が本音で語り合う場などを設定するほか、推薦特別枠の設置、指定校推薦特別枠の設置、特別奨学金制度の設置などを検討している。

 町では、学生と小中高生との交流によるコミュニケーション能力の育成や授業の充実、進学意識の向上などを期待している。

 双方とも「平取高から北翔大に進学し、教員免許を取得する」という道筋が一つのモデルとして定着することを期待しており、松田教育長は「平取高から夢をかなえよう、をスローガンに掲げられるようになれば」との思いを示した。

 遠藤町長は「平取高からの特別枠はぜひお願いしたい。大学生が高校に来て交流してくれれば大学が身近な存在となるし、高校の魅力化にもつながる」と期待。

 山谷学長は「できるところから取組を具現化していき、実りある連携にしたい」との意欲を示した。

(市町村 2024-03-28付)

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