道教委がオンラインセミナー　薬物の過剰摂取防止へ　他職種連携で対応を　冨家教授

（道・道教委 2024-04-05付）

　道教委は３月２６日、オンラインセミナー「子どもたちの“こころ”について学ぶ」を開催した。北海道医療大学心理科学部長の冨家直明氏が「子どもたちのメンタルヘルス」と題して講義。特定の市販薬を過剰に摂取する「オーバードーズ」に警鐘を鳴らし、他職種と連携して対応する必要性を説いた。

　児童生徒理解を深めるため初めて実施したセミナー。各校種の教職員約１８０人が参加した。

　はじめに健康・体育課の篠原弥智係長がオーバードーズの現状を説明。睡眠時間が短い、朝食を食べない頻度が高い、ネットの使用時間が長いなどの特徴を示した。児童生徒の自殺を予防するため、自殺のサインを職員全員で共有して組織的に対応するよう呼びかけ、自殺予防につながった相談事例を周知した。

　冨家氏はここ数年で市販薬の過剰摂取による緊急搬送者数が急増している現状に触れ、動画コンテンツやブログにおいてオーバードーズのレポート「ＯＤレポ」が急増し、子どもたちに影響を与えていることを伝えた。

　使用者の多くが学校や家庭での不適応を抱えていることから、家庭、勉強、人間関係など背景にある課題に対処する必要があるとし、他職種との連携を広げていく重要性を指摘した。

　問題点や対応策を洗い出すための養護教諭・生徒間の対話例も紹介。薬物問題を解決するため、ストレスへの対処能力の向上や学校薬剤師との連携が一層重要になるとし「間違った情報の波にのまれているのが子どもたちの状況。学校薬剤師と協働して問題を考えてほしい」と語った。

　講義後は事例検討を実施。オーバードーズとなった高校生を想定し、子どもを守る具体的な対応について理解を深めた。

(道・道教委 2024-04-05付)