十勝管内6年度教育推進の重点 個々の可能性引き出す 学ぶ機会保障し質高める環境(道・道教委 2024-04-15付)
十勝教育局・新山局長
【帯広発】十勝教育局の新山知邦局長は、11日に幕別町内の十勝教育研修センターで開かれた管内小中学校長会議において、6年度管内教育推進の重点を説明した。前年度の管内教育の推進状況を踏まえ「子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進」をはじめとする三つの柱のもと、22の施策項目を提示。各重点の目標達成に向け、効果的な取組の普及や指導助言、各所における活動の支援を進める意向を示した。
新山局長による説明概要はつぎのとおり。
【はじめに】
管内教育推進の重点につては、平成30年度から「十勝らしい一人一人の学びの実現」をテーマと設定し「十勝はひとつ 子どもたちのために」を合言葉に教育局、市町村教育委員会、学校が一体となった取組を進めている。
前年度、道教育推進計画が改定され、自立と共生の継続した共通理念のもと、三つの柱、22の施策項目を設定した。
現在、人々の価値観や生活様式、ワークスタイルは大きく変化しており、今後「SDGs・ESDの推進による持続可能や社会の実現」「主体的に学習に取り組む態度を養い、多様な人々との協働を促す教育」「専門性の高い特別支援教育やキャリア教育、道徳教育等の充実や体力・運動習慣等の定着」「ICTを活用した教育や働き方改革の推進」「学校を核とする地域づくりや生涯にわたる学びの場の充実」などが、引き続き求められている。
こうした中、前年度、道の教育推進計画を踏まえ、管内教育推進の重点を「子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進」「学びの機会を保障し質を高める環境の確立」「地域と歩む持続可能な教育の実現」の三つの構成とした。
前年度の重点に係る教育委員会および学校において、自己評価をしていただき「地域と連携を図った体験活動を行った」「地域、関係機関等と連携を図った防災教室や防犯訓練、通学路の安全点検を行った」「不祥事の未然防止に向けた取組を行った」「コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進に向けた意識向上が見られた」などの成果があった一方「1人1台端末を効果的に活用した“個別最適な学び”と“協働的な学び”の一体的な充実による授業改善や授業以外の取組」「幼保小、小中、中高といった校種間連携」が課題となっている。
これらの自己評価のほか、管内の状況として「ふるさと教育、キャリア教育の推進」「いじめの積極的な認知」「学校運営協議会の設置の促進」などの成果があるほか「各学校における検証改善サイクルの一層の充実に向けた実質化・迅速化」「探究的な活動の一層の推進」「計画的な部活動の地域移行」などの課題が見られた。
こうしたことを踏まえ、本年度の重点を設定した。三つの重点と具体の取組について説明する。
【重点1 子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進】
一人ひとりの児童生徒が、自分の良さや可能性を認識するとともに、他者を尊重し、協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となることができるよう、学校は、子どもたち一人ひとりの可能性を引き出す教育を一層推進することが求められている。
こうしたことから、各学校では、新しい時代に必要な資質・能力を育むため「1人1台端末を活用した個別最適な学びと協働的な学びの充実による主体的・対話的で深い学びを目指す授業改善や授業以外の取組の推進」など、4点の取組を進めるようお願いする。
また、社会に羽ばたく力を身に付けさせるため「探究的な学習や教科等横断的な学びを充実させたSTEAM教育の推進」など、3点の取組を進めるようお願いする。
教育局では、引き続き、管理職やミドルリーダーを対象とした各種会議や研修会の開催、組織力向上に関するアンケートの実施と分析結果の提供、企業や知事部局と連携した管内の人材育成に向けた取組の推進など、学校の取組を支援する。
さらに、健康でたくましい体をつくるために学校保健委員会の活性化による感染症対策や健康教育の推進、豊かな人間性を育む取組として、組織的・計画的な道徳教育の推進体制の整備などを進めるようお願いする。
教育局では、管内の状況を踏まえた効果的な取組の普及や、道徳教育の指導体制に係る学校の課題等に応じた指導助言など、学校の取組を支援する。
【重点2 学びの機会を保障し質を高める環境の確立】
当たり前のように存在していた学校に通えない状況が続いた中で、学校がどれだけ大きな存在であったのかということが、あらためて浮き彫りになり、学校は、全ての子どもたちが安心して楽しく通える魅力ある環境であることが、あらためて求められている。
また、学校が抱える課題が複雑化し、教師の勤務の長時間化が指摘される中、教職員が心身共に健康を保ち、誇りとやりがいを持って働くことができる環境の整備を図り、子どもたちに対して、効果的で質の高い教育活動を持続的に行うことができるようにすることが求められている。
そのため、学校は、安心して過ごせる居場所をつくるとともに、子どもの学びをつなぎ、信頼される学校づくりに取り組むことが重要であり、9点の具体を示している。
こうしたことから、各学校では「安心して過ごせる居場所づくり」のために、学校いじめ対策組織によるいじめの積極的な認知と早期の組織的な取組など、4点の取組を進めるようお願いする。
また、子どもの学びをつなぐため「一貫教育など各地域等における小中および中高連携の推進」など、2点に取り組むようお願いする。
さらに、信頼される学校をつくるため「働き方改革の一層の推進に向けた本来担うべき業務に専念できる環境の整備」など、3点に取り組むようお願いする。
教育局では、生徒指導に関する協議会や研修会の開催、関係機関等との連携による管内の生徒指導体制の整備、校種間の接続に関する事業成果や取組の普及、働き方改革に関する情報提供や経験年数に応じた研修会の実施など、学校の取組を支援する。
地域と持続可能な教育実現を
【重点3 地域と歩む持続可能な教育の実現】
学校を取り巻く課題は、複雑化・困難化しており、こうした課題に対応しつつ、未来を担う子どもたちの成長を支えるこれからの時代に対応した新しい学校教育を実現するためには、学校・家庭・地域住民等が相互に連携・協力して、持続可能な教育を行うことが求められている。
そのため、学校は「家庭と連携して子どもの学びを支える」とともに「活力ある地域づくり」や「文化施設等を活用した学校教育、社会教育を推進する」ことが重要であり、9点の具体を示している。
こうしたことから、各学校では、家庭や地域と連携して子どもの学びを支えるため「コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進によるPDCAサイクルの確立」「休日の部活動地域移行に向けた具体的な取組の推進」など、5点の取組を進めるようお願いする。
教育局では、コミュニティ・スクールに関する好事例等の提供や部活動の地域移行に係る市町村サポートチームの編成、地域課題の解決に向けた活動への支援など、教育委員会の取組を支援する。
【終わりに】
教育は子どもたち一人ひとりの人格の完成を目指すものであり、子どもたちが将来にわたって幸福な生活を営んでいく上で不可欠。
社会の急激な変化の中で、学校教育は、あらためて学校で学ぶことの意義に立ち返り、学習機会と学力を保障すること、全人的な発達・成長を保障すること、身体的・精神的な健康を保障することが求められている。
校長の皆さまには、学校教育が果たすべき役割を踏まえ、管内教育のより一層の充実に向けて、三つの重点の具体の取組を学校経営に適切に位置付け、家庭や地域とも連携を図りながら、十勝らしい一人ひとりの学びの実現を図る取組を推進していただくようお願いする。
(道・道教委 2024-04-15付)
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