宗谷管内6年度教育推進の重点 一人ひとりの子主語に 子と教職員の成長へ5項目(道・道教委 2024-04-19付)
笠井局長
【稚内発】宗谷教育局の笠井浩局長は12日、宗谷合同庁舎とオンラインで開いた宗谷管内市町村立小・中学校校長会議において、6年度宗谷管内教育推進の重点を説明した。本年度は「子どもの未来保障~一人ひとりの子どもを主語にする宗谷の教育の実現」をテーマに設定。実現に向けては①新しい時代に必要となる資質・能力の育成②子どもの発達の支援③教職員の資質・能力の向上④働き方改革の推進⑤家庭・地域との連携・協働の推進―の5項目で取組の具体を示し、児童生徒と教職員の成長につながる取組の実施を呼びかけた。
笠井局長の説明概要はつぎのとおり。
▼はじめに
管内教育推進については、2年度から「子どもの未来保障」をテーマとして設定しており、本年度もこのテーマを継承しつつ、道教育推進計画やこれまで積み上げてきた管内の教育実践の成果等を踏まえ、五つの具体的な取組を位置付けた。
▼取組1「新しい時代に必要となる資質・能力の育成」
1点目は、新しい時代に必要となる資質・能力の育成である。
社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難な時代を迎え、子どもたちには、持続可能な社会の創り手となることが期待されている。
そのため、各学校では、教育課程に基づき、組織的・計画的に教育活動の質の向上を図ることが重要。
管内では、全国学力・学習状況調査の結果が、全国平均を下回る状況が続いているものの、全国との差が縮まっており、着実な成果が見られている。
各学校には、教科等間のつながりを意識した教育課程の編成など①から④の4点の取組を進めるようお願いする。
教育局としては、学力保障会議やEBE協議会の開催、指導主事の学校訪問などを通じて、各学校の取組を支援していく。
▼取組2「子どもの発達の支援」
2点目は、子どもの発達の支援である。
子ども一人ひとりの可能性を最大限に伸ばし、社会をより良く生きる資質・能力を育むためには、一人ひとりの発達や成長をつなぐ視点での指導の充実が求められている。
そのため、各学校では、子ども一人ひとりの実態等をきめ細かに把握し、校内体制の整備や指導方法の工夫改善に取り組むことが重要。
管内では、いじめの認知件数や、不登校の子ども、特別な配慮を必要とする子どもが増加傾向にあり、より一層の取組が必要。
各学校には、生徒指導体制の充実など、⑤から⑦の3点の取組を進めるようお願いする。
教育局としては、関係機関と緊密に連携を図り、管内の支援体制の整備に努めていく。
▼取組3「教職員の資質能力の向上」
3点目は、教職員の資質・能力の向上である。
前年度から、教員の主体的・自律的な学びを促進する「新たな研修制度」が導入され、教員一人ひとりは、子どもの主体的な学びを支援する伴走者として、常に学び続ける存在であることが期待されている。
そのため、各学校では、教員一人ひとりが教職としての知識・技能を自ら求め、実践を積み重ねながら、互いに学び合う環境づくりを進めることが重要。
管内では、各種研修会等に、多くの教職員が積極的に参加する状況が見られており、今後は、研修の成果等を子どもの資質・能力の育成に確実に結び付けることが必要になる。
また、管内教育の未来を見据え、教職員一人ひとりに、キャリアステージに応じた資質・能力を確実に育んでいくことも必要。
各学校には、教職員の主体的な学びの推進など、⑧から⑩の3点の取組を進めるようお願いする。
教育局としては、オンライン研修会の開催、校長会や教頭会、教育研修センター等と連携を図りながら、各学校の取組を支援していく。
▼取組4「働き方改革の推進」
4点目は、働き方改革の推進である。
学校における働き方改革については、教員自身がこれまでの働き方を見直し、自らの学びを深める時間や、子どもと向き合う時間を確保し、質の高い学びや持続可能な学校の実現につなげていくことが求められている。
そのため、各学校では「学校における働き方改革“北海道アクション・プラン”」などを踏まえ、教員一人ひとりが変わってきたことを実感できる実効性ある取組を進めることが重要。
管内では、小・中学校の教職員の時間外在校等時間が減少傾向にあるものの、全道平均を上回っており、より一層の取組の推進が必要。
各学校には、教師が本来担うべき業務に専念できる環境の整備など、⑪と⑫の2点の取組を進めるようお願いする。
教育局としては、働き方改革推進会議の開催や義務教育指導監の経営訪問、好事例の提供などを通じて、各学校の取組を支援していく。
▼取組5「家庭・地域との連携・協働の推進」
5点目は、家庭・地域との連携・協働の推進である。
学校が抱える課題の複雑化・困難化が指摘される中、学校と地域が相互に連携・協働し、社会総がかりで教育の実現を図っていくことが求められている。
そのため、各学校では、家庭や地域社会との連携をより一層深め、学校内外を通じた子どもの生活の充実と活性化を図っていくことが重要。
管内では、ほぼ全ての学校において、コミュニティ・スクールを導入しており、本制度を効果的に活用して、学校運営の改善・充実を図ることが必要。
各学校には、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の推進など、⑬から⑮の3点の取組を進めるようお願いする。
教育局としては、教育委員会訪問や社会教育主事の巡回訪問、好事例の提供などを通じて、各学校の取組を支援していく。
▼終わりに
教育は、子ども一人ひとりの人格の完成を目指すものであり、子どもが将来にわたって幸福な生活を営んでいく上で不可欠である。
子どもが多様化し、学校が様々な課題を抱える中にあっても、管内においては、誰一人取り残さないことを徹底するなど、子どもを主語にする宗谷の教育を実現していきたいと考えている。
校長の皆さまには、学校教育が果たすべき役割を踏まえ、管内教育のより一層の充実に向けて、五つの具体的な取組を学校経営に適切に位置付けるとともに、家庭や地域とも連携を図りながら、子どもの未来保障の取組を推進していただくようお願いする。
この記事の他の写真
(道・道教委 2024-04-19付)
その他の記事( 道・道教委)
道教委 家庭教育サポート企業数 5年度累計2888社 銀行・信金など金融最多741者
道教委は、道家庭教育サポート企業等制度の協定締結企業数をまとめた。5年度の累計締結数は2888者。職種別では、銀行・信金などの金融業が741者で最も多く、卸小売業が523者、管工土建電気業...(2024-04-23) 全て読む
上川管内6年度教育推進の重点 上川スポットライトを 検証改善サイクル等推進
【旭川発】上川教育局の今村隆之局長は12日、上川合同庁舎で開かれた管内公立小・中学校長会議で6年度教育推進の重点を説明した。「上川管内教育の推進に向けて~ふるさとを愛し、夢と志をもって、可...(2024-04-22) 全て読む
道教委の草の根教育実習 6年度 受入対象校拡大 実施期間 2月末まで延長
道教委は草の根教育実習の6年度実施方針を決定した。より多くの大学生の参加機会を確保するため、へき地校に限定していた実習の受け入れ対象校を小規模校を含む希望校へと拡大。8~12月までとしてい...(2024-04-22) 全て読む
道研 地域研修サポート事業開始 教職員の資質向上支えたい 講師派遣旅費 道研が負担
道立教育研究所は本年度、地域研修サポート事業を展開する。前年度まで実施していた地域連携共同企画研修の後継事業。教育研究所や教育研修センターなどの依頼に応じて道研職員を派遣。地域で取り組む研...(2024-04-22) 全て読む
道教委 校種間連携サポート事業 洞爺湖町など11市町に パートナー校制で推進体制充実
道教委は、6年度「学校種間連携サポート事業」の指定・準備地域として、新規の洞爺湖町と大空町を含む11市町・12地区を決定した。指定・準備校は34校。道内先進校とのパートナー校制によって推進...(2024-04-22) 全て読む
初任段階養護教諭を支援 中核リーダーの派遣開始 調整後随時派遣へ 道教委
道教委は本年度から健康教育推進リーダー等派遣事業を開始する。初任段階養護教諭の在籍校に対し、地域における中核養護教諭「健康教育推進リーダー」を派遣する新たな試み。学校保健に関する指導助言体...(2024-04-19) 全て読む
空知管内6年度教育推進の重点 ふるさと愛する人育む 「そ・ら・ち」キーワードに
【岩見沢発】空知教育局の金田敦史局長は11日、空知合同庁舎で開催した管内市町教育委員会教育長会議において6年度管内教育推進の重点を説明した。前年度に引き続き「ふるさと空知を愛する人を育む」...(2024-04-19) 全て読む
高卒認定試験合格に向け 対象を45人に拡大 道教委 5月中旬支援開始
道教委は、本年度から高卒程度学力習得に向けたステップアップ支援事業を実施する。前年度に試行実施した取組の対象を45人に拡大して本格実施するもの。5月中旬にも支援を開始し、8月と11月に実施...(2024-04-19) 全て読む
オホーツク6年度教育推進の重点 ウェルビーイング実現 子の可能性引き出す取組を
【網走発】オホーツク教育局の桑原知己局長は12日、網走市内のオホーツク・文化交流センターで開かれた管内公立小・中・義務教育学校長等会議で6年度管内教育推進に係る取組および管内教育推進の重点...(2024-04-18) 全て読む
留萌管内6年度教育推進の重点 子の可能性 最大限引き出す環境 未来創造する子の育成など3柱
【留萌発】留萌教育局の大畑明美局長は12日、留萌振興局合同庁舎で開催した管内公立学校長会議において本年度の管内教育推進の重点を説明した。重点的に取り組む項目として「未来を創造する子どもたち...(2024-04-18) 全て読む