ウェルビーイング ICTを重視 帯広市教委 学校教育指導の重点(市町村 2024-04-19付)
【帯広発】帯広市教委は6年度学校教育指導の重点を発表した。「I=一貫教育」「C=子どもを主語」「T=探究的な学習」のキーワード3点とともに「ウェルビーイングの向上」という新たな視点を加え「ICT×ウェルビーイング」をコンセプトに設定。技術の統合と教育の質向上、教育活動を通じた子どもと教師の深い充実感を得られる環境づくりによって“帯広らしい教育”の実現を目指す。
学校教育指導の重点はつぎのとおり。
【重点Ⅰ 特色ある教育を展開し、生きる力を育む開かれた信頼される学校経営の推進】
▼全ての子どもの可能性を引き出す教育課程の編成、実施、評価、改善
▽学習指導要領に基づいて、一人ひとりの子どもを主語にする学校教育を目指すべく、各学校においては、目指す子ども像や重点教育目標の設定による自校の特色を生かした教育課程を編成・実施し、評価と改善に努める。また、カリキュラム・マネジメントを機能させることによって、全ての子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図る
▽ふるさとの歴史や文化、自然環境や産業等を学ぶ「おびひろ市民学」を一層推進することで、帯広市の特色を生かした教育を展開し、ふるさと帯広の良さに触れ、より良い地域づくりに関わる子どもの育成を目指す
▽教職員一人ひとりの意識改革を図り、経営参画意識を高めるとともに、学校評価を適切に実施・公表・活用し、組織マネジメントを確立して、学校改善と活力ある学校経営に努める。また、校務分掌の体制確立や学年・学級経営の連動により、重点教育目標の具現化に努める
▽「エリア・ファミリー構想」に基づき、9年間を見通した教育課程の編成等、義務教育9年間を通した連続性・系統性に配慮した一貫性のある教育活動によって、エリア・ファミリーによる学びと育ちをつなぐ取組を進める
▽学校における働き方改革に十分配慮し、標準授業時数に基づく適切な編成・実施に努める
▼公教育に携わる専門職としての自覚と専門性の深化を図る研修の充実
▽教育の専門家として確かな指導力を身に付け、人間力の向上を図るための組織的・体系的な校内研修と、学び続ける教師としての自己研修を組織的・計画的に推進する
▽公開研究会等による研修成果の積極的な公開と、指導主事をはじめ様々な分野の専門家や外部講師の活用によって、専門性の深化を図る。また、教育研究所の長期休業中の教職員研修講座、十勝教育研修センターの各種研修講座、各学校の公開研究会等に積極的に参加し、実践的指導力の向上に努める
▽個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びの実現を図る校内研修や学校課題に応じた「えらべる二次訪問」によって資質・能力の向上につなげる
▽「教職員の働き方改革推進プラン」に基づき、教職員の勤務状況の改善に向けた業務の平準化、教育課程の見直しなどを通して、自らの学びを深めるための時間や子どもたちと向きあう時間を確保することで「質の高い学び」と「持続可能な学校教育」の両立を図る
▼保護者や地域と連携・協働した「社会に開かれた教育課程」の推進
▽子どもたちの教育は、学校・家庭・地域がそれぞれの役割と責任を果たすとともに、相互に連携・協働してこそ効果が上がるものであることから、学校においては、コミュニティ・スクールの導入によって、学校・家庭・地域と連携・協働しながら教育活動を充実させ、「社会に開かれた教育課程」の実現を進める
▽ホームページや各種通信等を通して、学校の教育活動に関する情報を積極的に発信するとともに「学校支援地域本部事業」「こども学校応援地域基金プロジェクト」等の活用を通して、学校と家庭や地域、関係機関および異校種間の連携・協働関係の強化に努める
▽教職員一人ひとりが教育公務員として自らを厳しく律し、服務規律を順守する。また、今日求められるスクール・コンプライアンスを徹底するとともに、教職員も地域の一員であり、市の職員であるという自覚を持ち、地域の活動への積極的な参加に努める
▽体罰やハラスメントは決して行わず、暴言は厳に慎み、地域や保護者との連携・協働による組織的な児童生徒の安全管理に努めることで「信頼される学校づくり」を推進する
【重点Ⅱ 基礎・基本の確実な定着を図り、自ら学び自ら考える力を育てる指導の充実】
▼調和の取れた具体的な指導計画の作成と改善
▽「子どもを主語」にする学校教育をさらに進めるべく「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、一人ひとりの思いや願いを生かした学習の場の設定や、問いを多様な他者との協働によって解決するための授業改善を図る
▽教科等横断的な視点を持ち、指導計画並びに評価計画の作成・改善を行うとともに、学年間・異校種間における系統的・発展的な指導につながるよう、カリキュラム・マネジメントの充実に努める
▽全国学力・学習状況調査や標準学力調査等の結果分析を通して、学校全体の傾向および一人ひとりの児童生徒の学力や学習の状況を把握して課題を明らかにするとともに、各校における学力向上に向けた「1校1実践」等、全教職員が一体となった組織的な取組を進める
▼指導方法や指導体制の工夫と改善
▽未来社会を見据え、児童生徒の資質・能力を育成するに当たっては「子どもを主語」にした学びをさらに進め、自ら疑問や課題を持ち、主体的に解決する探究的な学習の中で「個別最適な学び」「協働的な学び」という観点から学習活動の充実の方向性をあらためて捉え直す。また、これまでの教育実践とICTを、有効に活用することによって、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善へつなげていく
▽基礎的・基本的な知識及び技能の習得のために、基本的な学習内容の重点的な指導や繰り返し・反復指導等、個に応じた指導の充実を図る
▽思考力・判断力・表現力等を育むために、各教科の見方や考え方を働かせ、知識や技能を活用して課題を解決するための学習活動を充実させる指導の工夫改善に努める
▽主体的に学習に取り組む態度を養うために一人ひとりに応じた学習課題や学習活動を自己選択する機会を設け、少人数指導や習熟の程度に応じた指導、チーム・ティーチング等、多様な学習スタイルに取り組む
▽「おびひろ市民学」における探究的な学習を通じ、子ども同士で、あるいは多様な他者と協働しながら、「協働的な学び」の充実に努めるとともに、地域の人的、物的な教育資源を生かし、地域社会とのつながりを深める
▽帯広市小中一貫教育推進基本方針に基づき、「小・中学校間の交流・連携」から「一貫教育の充実」への発展に向けたSTEP3の取組を推進するために、小中合同授業研究会の実施、小学校高学年における一部教科担任制の導入、義務教育9年間を通した連続性・系統性に配慮した一貫性のある教育活動等によって、小中の学びと育ちをつなぎ、連続性・系統性を生かした校種間連携を推進する
▼児童生徒の良さや指導の成果を把握する評価の工夫と改善
▽学習評価は、学校における教育活動に関し、児童生徒の学習環境を評価するものであり「児童生徒にどういった力が身に付いたか」という学習の成果を的確に捉え、教師が授業改善を図るとともに、児童生徒自身が自らの学習を振り返って次の学習に向かう学習改善ができるようにする
▽児童生徒一人ひとりの良さや可能性、進歩の状況等を的確に捉えるために自己評価・相互評価の充実を図るとともに、児童生徒が課題意識を持って学習を進めていけるよう、学習の見通しを立てたり、学習した内容を振り返ったりする活動を計画的に取り入れる
▽学習評価は、日々の授業において、児童生徒の学習状況を適宜把握して指導に生かすことに重点を置くとともに、記録に残す観点別学習状況の評価については、毎回の授業ではなく、原則として単元や題材等のまとまりごとに、それぞれの実現状況が把握できる段階で評価を行うなど、評価の場面と方法を工夫する
【重点Ⅲ 人間的な触れ合いを重視し、豊かな人間性や社会性を育てる指導の充実】
▼自己実現を支える生徒指導の充実
▽生徒指導は、児童生徒一人ひとりの個性の発見と良さや可能性を伸長し、子どもを主語として、社会的資質・能力の発達を支えると同時に、自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を「支える」ことを目的としており、その目的を達成するため、児童生徒の自己指導能力を育成する。自己指導能力の獲得を支える生徒指導における実践上の視点として①自己存在感を感受できるような配慮②共感的な人間関係の育成③自己決定の場の提供④安心安全な風土の醸成を行う
▽生徒指導の4階層の支援構造①発達支援的生徒指導②課題予防的生徒指導:課題未然防止教育③課題予防的生徒指導:課題早期発見対応④困難課題対応的生徒指導に基づく働きかけや取組を行うとともに、①②の常態的・先行的な生徒指導を一層重視する
▽教職員と児童生徒との信頼関係を築き、集団の場面で必要な指導や援助をおこなう「ガイダンス」と、本人が抱える課題に個別に対応した指導を行う「カウンセリング」の双方によって発達を支援する
▽児童生徒が抱える課題は、児童生徒を取り巻く様々な環境の影響によっており、医療や心理面に関する専門的な判断の必要性や、福祉面での関係機関との連携の必要性などが高まっていることから、多様な専門職、あるいは地域の様々な「思いやりのある大人」が教員とともに連携・協働するチーム学校の体制を構築する。また、チーム学校として心の教育相談員、家庭訪問相談員、SC、SSWとの連携・協働を行うこと
▽チームによる連携・協働を実現するために①一人で抱え込まない②どんなことでも問題を全体に投げかける③管理職を中心にミドルリーダーが機能するネットワークをつくる④同僚間での継続的な振り返りを大切にする。また、5年度作成の「市立学校生徒指導の手引」の活用等によって、教職員の共通理解を図る
▼自主的、実践的な態度と自己を生かす能力を養う特別活動の充実
▽特別活動は「なすことによって学ぶ」ことを方法原理とし、児童生徒一人ひとりが学校や学級の生活により良く適応したり、目的意識を持ち、人間としての生き方についての考えを深め、自己を生かす能力を養ったりすることができるよう、ガイダンス機能の一層の充実を図る
▽児童会・生徒会活動等、異年齢集団による様々な集団活動を通し、自己有用感を育み、社会性を高める活動を促進するとともに、集団や社会の一員としてより良い生活や人間関係を築こうとする自主的で実践的な態度を育成する。また、市エリア・ファミリー構想に基づく幼保小中連携および異年齢集団による交流の充実等、長期的な視野に立ち、各発達の段階に応じた取組の充実を図る
▽家庭や地域との連携を深めながら、ボランティア活動、自然体験活動等の社会体験活動を通し、社会奉仕の精神や生活上のルールの習得、モラルの育成等を図る。国旗・国歌の指導に当たっては、教科等との関連を図り、国旗・国歌に対する正しい認識を持たせるとともに、それらを尊重する態度を育成する
▼調和のとれた心の教育の充実
▽正義感や公正さを重んじる心、生命や人権を尊重するなどの倫理観、他人を思いやる心や美しいものに感動する心等、豊かな人間性を育み、わが国や郷土の伝統と文化に対する関心や理解を深め、未来への夢や目標を抱いて生きようとする態度を育てる。その際は、道徳科の時間を要として、学校の教育活動全体を通じて、道徳的価値およびそれに基づいた自己の生き方についての考えを深め、道徳性を育成する
▽「おびひろ市民学」による9年間を通したふるさと教育の充実をはじめ、集団宿泊活動やボランティア活動、職場体験活動や自然体験活動、芸術・文化活動、読書活動、世代間・異年齢交流等の豊かな体験を通して、児童生徒の内面に根差した道徳性を育成する
【重点Ⅳ 自他の生命を尊重し、心身の調和的な発達を図る体育・健康に関する指導の充実】
▼体力の向上と、自ら進んで運動に親しむ資質や能力の育成▽心と体を一体として捉え、運動や健康に関する課題を発見し、その解決に向けたエビデンスに基づいた学校体育の充実を通して、運動好きな児童生徒や日常から運動に親しむ児童生徒を増加させ、生涯にわたって運動やスポーツを継続し、豊かなスポーツライフを実現する資質・能力を育成する
▽全国体力・運動能力、運動習慣等調査や、帯広市体力・運動能力実態調査等の結果によって、児童生徒の実態把握を行い、小中一貫教育の視点からエリア・ファミリーによる体育・保健体育の授業の改善・充実を図るとともに、学校の教育活動全体を通して運動の機会を拡充するため、体力づくりに関する「1校1実践」の取組を行うなど、児童生徒の体力・運動能力の向上を図る
▽家庭や地域、関係機関との連携を図り、日常生活においても、自ら進んで運動を適切に実践する習慣を形成し、生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎を培う。また、児童生徒がスポーツに継続して親しむことができる機会を確保するため、地域の実情に応じながら環境の一体的な整備を着実に進める
▼自らの健康を適切に管理し、改善していく資質や能力の育成
▽健康に関する身近な生活やそれを取り巻く社会環境の状況から健康課題に気付き、疾病等のリスクを減らしたり、生活の質を高めたりする等健康に関する課題の解決方法を考え、自他の生活と比較したり、関連づけたりすることで、適切な意思決定・行動選択に役立てる指導を充実させる
▽生活習慣病や、食物アレルギーのある児童生徒への対応、栄養バランスの取れた食生活等の課題や口腔の衛生等について「おびひろ市民学」における「帯広らしい食育プログラム」と関連付けながら指導を充実させ、望ましい生活習慣・食習慣の定着を図る
▽持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向け、性同一性障害や性的指向・性自認など、LGBT等に関わり悩みを抱える児童生徒の実態把握に努めながら、誰もが安心して学ぶことができる環境づくりに努める
▽家庭や地域、関係機関と連携した喫煙、飲酒、薬物乱用防止、がん教育に関する指導の一層の充実を図るとともに、心と体のバランスや発達の段階に即した性教育の適切な指導に努める
▼自他の生命を守る判断力と実践的な態度の育成
▽刻々と変化する自然状況や社会状況に対応し、児童生徒等を取り巻く多様な危険を的確に捉え、児童生徒の発達の段階や学校段階、地域特性に応じた取組を継続的かつ着実に推進する。その際は、学習指導要領を踏まえ「生活安全」「交通安全」「災害安全」や従来想定されなかった危機事象の出現等について「おびひろ市民学」、学校保健や生徒指導等、様々な関係領域と連携しながら、学校の教育活動全体を通して児童生徒が自ら安全に行動し、他者や社会の安全に貢献できる資質・能力を育成する
▽外部専門家や関係機関と連携した安全点検の徹底、先進的な取組を参考として、事故等の未然防止や発生後の調査・検証、再発防止のための取組の改善・充実をPDCAサイクルとして実施し、学校安全に関する改善・検証を図る
▽インフルエンザ等、様々な感染症に対する正しい知識や予防方法を身に付け、自他の生命を守るために、主体的に判断して感染の拡大防止に努める態度を育成する
(市町村 2024-04-19付)
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