道総合教育大綱改定へ議論 教育・子ども政策連携へ 格差なき教育・体験機会を
(道・道教委 2024-05-15付)

道総合教育会議
道総合教育会議であいさつする鈴木知事

 道、道教委は13日、ホテルポールスター札幌で第1回道総合教育会議を開催し、7年度から始まる道総合教育大綱の改定に向けた議論を開始した。テーマ「子どもたちの健やかな成長に向けた“学び”と“育ち”」のもと、北海道大学の松本伊智朗名誉教授による講演や意見交換を実施。保護者が抱える格差・貧困を「子どもの権利」の問題として捉え、教育と子ども政策が緊密に連携して施策の充実を図る方針を確認した。

 大綱は本道における教育の目標や施策の根本的な方針を示すもので平成27年10月に第1版を策定。以降改定を重ね、4回目となる改定を行う。

 会議の開会に当たり鈴木直道知事があいさつ。「子どもたちが夢に向かって挑戦できる活力あふれる北海道を築いていくためには、子どもたちを社会全体で支えていく施策を進めていくことが急務。今回の意見をより良い教育の政策や子ども政策の推進につなげていく」と述べた。

 議事に先立ち、道教委の山本純史学校教育監が学校における暑さ対策の取組状況を報告。

 続いて道の山本倫彦総務部長が大綱について説明し、5年度からスタートした国の教育振興基本計画やこども基本法との整合性を図り「学び」と「育ち」に関する政策の緊密な連携を図る方向性を示した。

 つぎに北大の松本名誉教授が「こども政策の基本理念と調査に見る政策課題」と題して講演。保護者の貧困・社会的孤立が子どもたちの健やかな成長に影響を与え、子どもの年齢・学年が上がるほど格差が拡大する調査データを示した。 

 また、子どもの貧困が旅行・キャンプなどの活動体験や進学率に影響する課題を提起し、家庭環境に依拠することのない子どもの体験機会、地域格差のない教育・進学の機会を確保する必要性を強調。格差・貧困の問題を「子どもの権利」の問題として捉える観点の重要性を示した。

 講演後に各委員が意見。学びと育ちに関する施策の相互連携、学校・家庭・地域一体で子どもたちの育ちを支援する施策の重要性を確認。都市部・郡部における教育資源の格差解消や、親と子ども双方のウェルビーイングを確保する重要性が指摘された。

 最後に鈴木知事は「教育政策と子ども政策の緊密な連携のもと、本道教育のさらなる充実を図っていくため、道・道教委の連携した施策に積極的に取り組んでいく」との考えを示した。

 8月の次回会議で新大綱の骨子案を示し、10月の第3回会議で全文を記載した素案を審議。12月のパブリックコメントを経て7年3月に決定する。

(道・道教委 2024-05-15付)

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