釧路管内6年度教育推進の重点 釧路の未来創る人材育成 子の力を最大限引き出す(道・道教委 2024-05-15付)
泉野局長
【釧路発】釧路教育局の泉野将司局長は4月中旬、管内公立学校校長会議で6年度管内教育推進の重点を示した。本年度のテーマを「釧路の未来を創る人材の育成とウェルビーイングの向上を目指して」と設定。テーマ設定を踏まえ、前年度に定めた21の重点項目を焦点化し、管内で求められる教育活動の在り方等を12項目に整理している。泉野局長は、持続可能な社会の創り手を育むために「釧路の未来を担う子どもたち一人ひとりの力を最大限に引き出す令和の時代に即した教育行政を推進していく」と述べた。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
◆テーマの設定
【釧路の未来を創る人材の育成とウェルビーイングの向上を目指して】
前年度テーマ「誰一人取り残すことのない教育」が一層推進されるよう、教育振興基本計画が掲げる「持続可能な社会の創り手の育成」「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」という二つのコンセプトを踏まえるとともに、これまでの市町村教委や学校の取組との一貫性を図りながら、テーマを「釧路の未来を創る人材の育成とウェルビーイングの向上を目指して」と設定している。
◆重点項目の設定
テーマの推進に当たり道教育推進計画の三つの施策をベースに「子どもへのサポート」「学校へのサポート」「家庭・地域へのサポート」の観点から重点項目を設定。各重点に基づく項目は、これまでの管内教育の成果や課題を踏まえ、前年度の項目から整理・統合、焦点化。この上で、市町村教委や学校が取組の充実を図ることができるよう、管内に求められる項目として掲げている。
▼子ども一人一人の可能性を引き出す教育の推進=子どもへのサポート
子どもへのサポートについては、子ども一人ひとりの可能性を引き出す教育の推進に資するもの。前年度の重点で設定した11項目を本年度は7項目に焦点化している。
教育局としては、学校経営指導訪問における組織マネジメントの充実に係る指導助言、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、教育課程の編成・実施、各指定事業に係る情報提供・指導助言参加者のニーズや6年度学力、体力向上ロードマップを踏まえたEBE協議会等の各種研修会の実施などを通して支援に努めていく。
市町村教委や各学校に求める重点項目はつぎのとおり。
▽SDGsやESDの推進など、持続可能な社会の創り手を育む主体的・対話的で深い学びの実現
環境教育や教科等におけるSDGsの視点に立った現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成や地域の施設や人材等の教育資源を活用した体験的な学習の促進。
▽検証改善サイクルの充実など、カリキュラム・マネジメントの推進
現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成に向けた教科等横断的な学習の充実。学校全体として教育課程を改善し、学習効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントの一層の推進。
▽ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実
探究的な学習や体験活動を通して、子ども同士や多様な他者と協働しながら行う学びの促進やICTを利活用し、遠隔地の専門家とつないだ授業や他校・地域や海外との交流などの取組の充実。
▽ふるさと教育の充実、グローバル人材の育成など、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成や組織的・計画的な道徳教育の推進
ふるさと教育、グローバル人材の育成、健康教育、防災教育等の現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成
▽子どもの実態を踏まえた体力向上の取組の充実
「1校1実践」の推進や体育エキスパート、専科教員を活用した教科指導力の向上に向けた研修会への参加促進。
▽スタートカリキュラムやキャリア・パスポートの活用など、幼稚園から高校までの学校段階間の連携・接続の推進
キャリア・パスポート等を活用したキャリア教育の一層の充実や市町村教育委員会が中心となった幼児教育施設と小学校が合同でスタートカリキュラムを作成する体制づくりと、そうした環境における架け橋期のカリキュラム作成。
▽小・中・高校、特別支援学校における障がいのある子どもの学びの場の充実
個別の教育支援計画の作成など、一人ひとりの障がいの状態等に応じた指導や支援の充実や個別の教育支援計画を活用した関係機関との連携の促進。
▼学びの機会を保障し質を高める環境の確立=学校へのサポート
学校へのサポートについては、学びの機会を保障し質を高める環境の確立に向けて、重点項目を3項目に焦点化。
教育局としては、管内いじめ問題等対策連絡協議会の重点に基づいた取組成果の普及・啓発、学校経営指導訪問における人材育成、働き方改革に係る指導助言、などを通して、支援に努めていく。
市町村教委や各学校に求める重点項目はつぎのとおり。
▽情報活用能力の育成に向けた教員のICT活用指導力の向上や家庭での1人1台端末の活用などICTの活用推進
個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた教員のICT活用指導力の向上や、情報活用能力の育成に向けた指導の系統性の整理。
▽いじめの積極的認知やICTを活用した不登校への支援、自殺予防教育の充実
いじめの定義の正しい理解や、オンラインでの授業配信による学習保障、専門的な相談を受けられる指導助言。
▽教職員のキャリアに応じた研修環境の充実や働き方改革の推進
教職員のキャリアに応じた研修環境の充実や、ICTを効果的に活用した働き方改革の推進。
▼地域と歩む持続可能な教育の実現=家庭・地域へのサポート
地域と歩む持続可能な教育の実現に向けて前年度の4項目から2項目に焦点化。
教育局としては、家庭教育支援研究協議会等の社会教育事業の実施、児童生徒に地域をつくる一員としての当事者意識を持たせることなどをねらいとした、教育局独自事業「くしろ未来プロジェクト」の実施などを通して、支援に努めていく。
市町村教委や各学校に求める重点項目はつぎのとおり。
▽総合的な学習(探究)の時間など、子どもを軸とした地域と学校の連携・協働の推進
地域への貢献が自身の満足度やウェルビーイングの実現に大きく起因することから、総合的な学習(探究)の時間の充実や社会に開かれた教育課程の実現。
▽地域コミュニティの基盤を支える社会教育の推進
公民館等の地域コミュニティーを拠点とした地域活性化、地方創生に向けた取組の支援や、地域課題の解決に向けた関係施設・施策との連携。
◆おわりに
これからの管内をはじめとする社会を展望した時、人の英知や創造力を最大限に引き出し、一人ひとりの人生を幸せで豊かなものにしていくために、そして、ウェルビーイングの充実を図るために、教育は極めて重要な役割を有している。
釧路局としては、教育の大きな柱である学校教育と社会教育が、分野横断的に相互の連携を深め、全ての人が自分らしさを大切にしながら自己肯定感を持って、分かる喜び・学ぶ楽しさを実感し、生涯にわたって学び続ける意欲を持てる環境を実現できるよう、管内の教育の発展を推進していく。
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(道・道教委 2024-05-15付)
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