高校配置計画地域別検討協〈十勝〉 総合学科認知度向上を 35人学級編制で教育環境維持
(道・道教委 2024-05-10付)

高校配置計画地域別検討協議会十勝
高校配置計画地域別検討協議会十勝 新山局長

 【帯広発】道教委は4月24日、第1回公立高校配置計画地域別検討協議会(十勝学区)を開いた。中学卒業者数に関して、9年度に28人の増加が見込まれるものの、10年度から4年間で6~7学級に相当する364人の減少となる見通し。10年度以降、再編整備を含めた配置の在り方の検討が必要とされている。6年度、管内の総合学科設置校2校の間口減が見られ、参加者からは、総合学科の認知度向上に向けた取組や、35人学級の編制による教育環境の維持などを求める声が多く上がった。

 十勝教育局の新山知邦局長は開会に当たり、中卒者数の減少に伴う高校の小規模校化が進む現状に触れ「教育環境の維持・向上を図ることが重要な課題」とし、忌憚のない意見を求めた。

 続いて、道教委の手塚和貴道立学校配置・制度担当課長が、十勝学区高校配置計画の見込みを提示した。9年度、中卒者数は0~1学級相当の28人増が見込まれ、定員調整等の検討に当たっては、市町村ごとの中卒者数や欠員の状況、学校・学科の配置状況などを考慮する必要性を説いた。

 一方で、10~13年度には、6~7学級に当たる364人減が予想されることを説明。帯広市を中心に大幅減が見込まれることから、帯広市内および周辺町において、再編整備を含めた公立高校全体での配置の在り方を検討する必要があることを伝えた。

 また、地域連携校の諸条件に当てはまる学校に関しては、制度導入によって遠隔システムを活用した教育環境の充実や、地域連携による高校の魅力化などによって存続を図る手だてを示した。

 協議に移り、清水町教委の山下勇教育長は、道内初の総合学科設置校である清水高校が6年度、3間口から2間口に減少したことに触れ「総合学科ならではの魅力を維持し、生徒一人ひとりの夢と希望を実現させるため、教職員数の確保が重要」と強調。教職員の加配や3間口の維持、生徒のニーズに応じた教育環境をかなえる35人学級の編制を求めた。

 同じく総合学科設置校の池田高校が間口減に至ったことから、池田町教委の加賀学教育長は、総合学科の認知度向上に向けた取組の具体などを質問した。滝田尚誠高校教育課課長補佐は、5年度末に集約した総合学科の魅力に関するアンケートから、7割以上の卒業生が、学科の特色を理解して入学していることを説明。学科の認知度が低いとする高校管理職の認識とのずれを解消する必要があることを説いた。アンケート結果を踏まえ、パンフレットやPR動画の内容の改善・工夫を図ることを示した。

 大樹町教委の沼田拓己教育長は、少子化や交通機関の縮小などの社会情勢による高校受験を取り巻く状況の変容に「町村にある公立高校に色濃く影響を及ぼしている」と示唆。公私定員比率や管内各学区の間口数をバランス良く設定するなど、適切かつ柔軟な計画策定を求めた。

 傍聴者の一人は、高校の存続が地方創生に関わることから、地域が財政支援を担っている現状に触れ「広大な地域性を考慮し、地域の高校存続に向けて、北海道が財政的に支援していくことが必要」と訴えた。

(道・道教委 2024-05-10付)

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