「したい」を引き出して 健やかな体育成へ説明会 愛媛大・日野氏と道教大・中島氏討論 札幌市教委(札幌市 2024-05-24付)
健やかな体パネルディスカッション
札幌市教委は21日、市内のちえりあで6年度「健やかな体」の育成に係る説明会およびパネルディスカッションを開催した。愛媛大学の日野克博教授と道教育大学札幌校の中島寿宏教授がパネリスト登壇し、運動の楽しさに触れられる取組や体育・保健体育授業の充実について説いた。また、本町小学校の吉野令欧奈教諭が「さっぽろっ子自治的な活動」と関連付けて健康課題解決を目指した取組を報告した。
開会あいさつに立った大井一雄教育課程担当課長は、6年度さっぽろっ子「健やかな体」の育成プランで「授業における運動の楽しさ、健康保持増進のための運動の大切さの実感を、授業以外の体育活動につなげること」を重点とすることを伝えた。
パネルディスカッションを通して「市の取組の方向性、小中9年間の系統性・連続性のある取組、日々の授業改善などについて理解を深め、日常の取組に生かして」と呼びかけた。
教育課程担当課の河本岳哉指導主事が5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果のポイント、6年度さっぽろっ子「健やかな体」の育成プランの概要について説明。
本年度は①体育・保健体育授業の充実②授業以外で子どもの運動機会を創出する取組③子どもが自ら健康づくりを図る取組の充実―を通して、子どもが運動の楽しさに触れることを重視していくと示した。
パネルディスカッションに移り、日野教授が「“みんなが楽しい、みんなで楽しい”体育授業を求めて」と題して説明。
子どもが運動の楽しさを実感できる授業づくりに向けては、誰もが取り組みやすい簡易的な運動やゲームからスタートすることを提案。「入り口は“やさしく・楽しく”、出口は“かしこく・明るく”」をポイントに、子どもの「~したい」を引き出したり、成長を実感したりできる手だての重要性を伝えた。
新聞紙を丸めたボールを使ったネット型球技、座った状態で行うドッジボールなど「アダプテッド」の考え方を取り入れた実践を紹介した。
中島教授は体育・保健体育授業の充実について説明。全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果から「学習活動の質が高いほど、子どもたちは授業を楽しいと感じている」と傾向を示した。
若手教員とベテラン教員の授業づくりの違いを分析した結果を提示し、ベテラン教員には子どもの思考を引き出す問いかけや説明を促す関わりが多く見られ、技能に関する指導・指示が少ないことを伝えた。
本町小の吉野教諭は、同校6年生が取り組んだ「健康プロジェクト」の実践について報告した。
保健体育「病気の予防」を窓口に、各教科等と連携して展開。健康課題について探る中で、自分や家族だけではなく広い視野で健康について考える視点を得て、校区や生活圏内をひとくくりにした「本町エリア」の現状や課題を洗い出した。
その後、健康課題解決に向け児童が主体となったプロジェクトが始動。札幌がんセミナーが実施する「“プラスのまほう”健康づくりやる気基金」の推進校として支援された5万円の使い道も児童に委ねた。
地区センターを会場に、児童が運動の良さや健康の大切さを発信するイベントを企画。地域の人々の協力を得て、取組が実現した。
実践を通して「児童の内面の成長や、別の視点から健康課題に気付く姿が見られた」と振り返った。
吉野教諭の発表に対し、日野教授は「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任を持って行動する力“エージェンシー”を育む実践だと感じた」、中島教授は「授業で学んだことが自分とどうつながっていくのか、実感を伴って課題として落とし込まれることで、本当の学習につながっていく」と述べた。
(札幌市 2024-05-24付)
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