インクルーシブ教育体制整備 高校の通級指導普及へ 専門性向上など3視点で研究 道教委(道・道教委 2024-06-27付)
道教委は、本年度から3ヵ年計画で「高等学校におけるインクルーシブ教育推進体制整備事業」に取り組む。高校の通常学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする生徒への支援を進めるため「教員の特別支援教育に係る専門性向上」「通級による指導の普及」「要支援生徒に対する個別支援体制の充実」の三つの視点で事業を展開。個別の指導計画に基づく効果的な指導・支援の在り方に関する調査研究に取り組むほか、通級指導の拠点校化や特別支援教育支援員等の適正配置に向けた取組などを進める。
4年12月に文部科学省が公表した調査結果では、通常の学級に在籍し、学習面または行動面で著しい困難を示す生徒は高校に2・2%在籍していることが判明。道教委調査によると、5年度の道立学校における特別な支援を必要としている生徒数は820人に上ることが明らかになった。
一方で、道内の特別支援教育支援員の配置校数が希望数50校に対し13校。通級による指導の実施対象が9校で32人で「全ての教職員が特別支援教育の目的や意義について十分理解する必要性」「通級指導の周知不足」「要支援生徒への個別の指導に当たる教員の支援体制の充実」などの課題が浮き彫りとなった。
道教委は、こうした課題の改善に向けて①教員の特別支援教育に係る専門性向上②通級による指導の普及③要支援生徒に対する個別支援体制の充実―の三つの視点で事業を展開する。
①、②に関わっては「“個別の指導計画”に基づく効果的な指導・支援の在り方に係る調査研究」を実施する予定。研究の推進へ、通級指導実施校で加配教員が配置されていない学校等を推進校に指定する。
今後、道教委と民間企業が連携協定を締結し、推進校に教育ソフトを導入することを検討。特別支援教育の免許を有しない高校教諭が通級指導を実施できる体制の構築を目指す。
②においては、通級による指導の拠点校化を検討。巡回指導が可能な距離に複数の加配配置校がある地域に「巡回指導拠点校」を設置し、国の教員加配を活用して通級指導担当教員を配置する。拠点校の通級指導担当教員は、自校通級・巡回指導を担当する。
③については、肢体不自由等で常時個別の支援が必要な生徒の在籍校や日常的に支援が必要な生徒が多数在籍している学校に特別支援教育支援員等を配置できるよう努める。また、医療的ケアの対象生徒が在籍する学校に看護師を配置するなど支援スタッフの適正配置に取り組む。
事業期間は9年3月までの3年間。道教委は「事業を通して、道立高校に在籍する特別な教育的支援を必要とする生徒が個々の障がいの状態等に応じた指導や支援を受けられる環境を整備できる」と期待する。
(道・道教委 2024-06-27付)
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