障がい者の生涯学習推進へキックオフ 特性理解 社会全体で 神戸大・津田教授の講演など 道教委
(道・道教委 2024-07-01付)

障がい者の生涯学習推進キックオフミーティング
障がい者の生涯学習推進キックオフミーティング

 道教委は6月26日、障がい者の生涯学習推進キックオフミーティングを札幌市内のかでる2・7およびウェブ会議システム併用で開催した。神戸大学の津田英二教授が「共生社会の実現に向けた社会のあり方と私たちのあり方」をテーマに講演。障がい者の生涯学習の推進に向けて、障がいの特性を理解する環境整備の重要性や社会全体で障がいを理解する機運醸成の必要性を説いた。

 道教委は2年度から文部科学省の委託を受け、障がい者の生涯学習支援体制構築モデル事業を実施。障がい者の生涯学習の充実を図ることで誰もが障がいの有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会の実現に向けた取組を進めている。

 キックオフミーティングには、道内各教育局社会教育指導班主査、道教委社会教育課ネイパルグループ、市町村教委社会教育・生涯学習担当者らが参加した。

 あいさつに立った伊藤直人社会教育課長は、改正障害者差別解消法に触れ「障がいのある人が一生を通じて自らの可能性を追求しつつ、地域の一員として豊かな人生を送ることができるよう、様々な学習機会を整備する取組の重要性がますます高まっている」と指摘。障がいへの理解促進や共に学ぶ場づくりのノウハウ、知見を得るとともに、障がい者の生涯学習に資する取組の展開を期待した。

 引き続き、障がい者の生涯学習推進アドバイザーを務める津田教授が講演した。障がい者の生涯学習の推進について「合理的配慮は、全ての人の十分な参加、活動を実現するための社会の努力」と強調。「誰も排除されない共生社会を目指す上で、障がいの問題への取組は世界標準となっている」と説いた。

 昨年1月に実施された文科省「障害者本人を対象とする調査」に触れ、現在、生涯学習に取り組んでいない人が79・3%いることや「どのような学習があるのか知らない」と回答する人が多い現状を指摘。兵庫県のアンケート調査による当事者や家族の声を紹介し、障がいの特性を理解する環境整備の重要性や社会全体で障がいを理解する必要性などを示した。

 文科省男女共同参画共生社会学習・安全課、道保健福祉部障がい者保健福祉課、道教委社会教育課による説明や、仙台市教育局生涯学習課の三澤翠氏による仙台市の取組事例紹介が行われた。

 このあと、各教育局の社会教育指導班を対象にした協議を行い、多様な主体の連携による学習プログラム構築事業について意見を交わした。

 参加者からは「今まで“活動と参加”から排除されてきた障がい者を中心に据え、生涯学習体制を構築する大切さをあらためて感じた」「特別支援学校の教育をインクルーシブ化するアプローチと生涯学習のインクルーシブ化を進める両方の視点が大切と感じた」などの声が寄せられた。

(道・道教委 2024-07-01付)

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