子が主語の教育実現 網走で道研連研究発表大会(道・道教委 2024-09-02付)
道研連研究発表大会開会式
【網走発】道教育研究所連盟(道研連、川端香代子委員長)は8月29日から2日間、網走市内のオホーツク・文化交流センターで第79回道教育研究所連盟研究発表大会網走大会兼第66回全国教育研究所連盟道地区研究発表大会を開いた。第18次共同研究「一人一人の子どもを主語にする学校教育の実現に向けて」の発表・協議、各加盟機関の取組の交流・協議などを通じて本道教育の充実・発展を目指した。
大会はハイブリッド形式で行い、直接参加、オンライン参加を合わせて約70人が参加した。
初日の開会式で川端委員長(道立教育研究所長)は「教師には学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて探究心を持ちつつ自律的かつ継続的に学び続け、子ども一人ひとりの学びを最大限に引き出しながら、自立的な学習者にする伴走者としての役割を果たすことが求められている」とし「教師の学びが子どもの学びのロールモデルになるよう、教師自身の学び、すなわち研修観の転換を図ることが重要」と指摘。
教育研究所・研修センターが果たす役割が一層重要になっていることから「活発な交流、協議を通して学びを深めるとともに、全道のネットワークを構築していただきたい」と呼びかけた。
来賓祝辞では、全国教育研究所連盟の池田貴城委員長(国立教育政策研究所長)のメッセージを国研の萬谷宏之所長代理が代読。「全体発表等を通じて得られたことを各教育研究所・研修センターに持ち帰っていただくとともに、地区内のネットワークをますます強化していただきたい」と述べた。
オホーツク教育局の桑原知己局長は「地域の教育の専門機関として、教師の資質・能力の向上はもとより、新たな教師の学びの姿の実現に向け、北海道の課題の一つである広域分散型で小規模校が多い状況の中、これまで構築してきた道研連のネットワークを最大限に機能させ、教師の研修の場の確保や人材育成の一層の充実を図っていただきたい」と期待を寄せた。
このあと、第18次共同研究の全体発表・協議、国研の藤原文雄初等中等教育研究部長による記念講演「一人一人の子どもを主語にする学校教育の実現に向けて~自立した学習者を育成するための教育研究所・研修センターの在り方」、2日目は対話・演習「“研修観の転換”の実現に向けて」を行った。
◆ボーダーレス化が有効 第18次共同研究発表・協議
第79回道教育研究所連盟研究発表大会網走大会兼第66回全国教育研究所連盟道地区研究発表大会では、6年度共同研究推進委員会の米倉完委員長(網走地方教育研修センター研究員)が道研連第18次共同研究について全体発表した。全体協議も行い、教育研究所・研修センターの枠を越えたボーダーレス化の取組で本道全体の取組を底上げできるなどの意見が出た。
第18次共同研究の研究主題は「一人一人の子どもを主語にする学校教育の実現に向けて」。
各教育研究所・研修センターがより連携・協働できる体制を整備し、学校支援のために活用する、個別最適な学びと協働的な学びの実践事例を収集・提供することによって、子どもの主体的な学びを支援する伴走者としての能力の向上に資することをねらいとしている。
研究内容は①全ての子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」②子どもの成長を支える連携・協働体制の構築―。
研究期間は5年度から3年間。
①について、1年次は個別最適な学びと協働的な学びの充実を目指した実践事例の収集、収集した実践事例の分析、道研連「実践事例バンク」への掲載事例の収集・作成、2年次の本年度は各域内の学校の実践事例の収集・分析、実践事例バンクの運営と普及・還元、リーフレットの作成、3年次は個別最適な学びと協働的な学びの充実に向けた実践事例バンクの普及・還元、リーフレットの配布、研究成果の普及・還元を実施。
②について、1年次は各教育研究所・研修センターに蓄積された効果的な教育実践の共有、共有する内容の精選および共有する方法の検討、2年次はICTを活用した各教育研究所・研修センターの教育実践の共有、複数の加盟機関が連携した研修や授業研究の計画・実施、3年次はICTを活用した各教育研究所・研修センターの教育実践の普及・還元、複数の加盟機関が連携した研修や授業研究の実施、加盟機関の連携・協働体制の評価・改善に取り組む。
研究発表のあと、全体協議に入り、参加者は12グループに分かれて意見交換した。
①については、研究成果普及のため、従来の研究紀要作成・配布、ポスター作成、ウェブでの発信に加え、動画配信サイトでライブ配信やアーカイブ作成が効果的ではないかなどの声が出た。
②については、各教育研究所・研修センターの横のつながりを持ち続けることの重要性のほか、一歩進んで互いの研修講座を受講し合うといったボーダーレス化でそれぞれの特色ある取組を交流し、本道全体の取組の底上げを図ること、そのためにも動画配信サイトの活用などが有効などの意見が出た。
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道研連研究発表大会共同研究発表・協議
(道・道教委 2024-09-02付)
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