地域スポーツ環境再構築へ検討会議 人づくりにつなぐ視点を 実証事業展開へアドバイザー助言(道・道教委 2024-09-04付)
地域スポーツ連携協働再構築検討会議
道教委は8月28日、札幌市内のかでる2・7で地域スポーツ連携・協働再構築推進プロジェクト第1回広域連携検討会議を開催した。本年度の事業の全体像を共有し、部活動の在り方検討支援アドバイザーが情報提供・助言。地域スポーツ環境の再構築に当たって現代の価値観・ニーズに応える重要性や、将来の人づくり、まちづくりへとつなぐ視点を示した。
会議はスポーツ庁の地域スポーツ連携・協働再構築推進プロジェクトの一環として、実証自治体が相互に連携して必要な事項を検討することがねらい。
実証地域3町の関係部局と地域クラブの関係者、道経済産業局、道スポーツ協会などから約20人が参加した。
開会に当たり部活動改革推進課の長居成好課長があいさつ。指導者の不足、財源の確保、広域連携などの課題に対応するため、関係部局との連携やまちづくりの視点、さらには関係団体、企業、地域住民との連携が一層重要になるとし「本道におけるスポーツ環境の充実、持続性の確保へとつながる成果を生み出すことができれば」と期待した。
道教委が事業の全体像を説明したあと、沼田町、余市町、安平町の3町が地域スポーツ環境の現状や部活動の地域移行に向けた検討状況を説明した。沼田町教委教育課の赤井圭二課長は、北空知における広域連携に向けた取組状況を報告。今後1市5町の代表者が参加する会議を開き、持続可能なスポーツ環境の可能性を模索する考えを示した
続いて部活動の在り方検討支援アドバイザーが情報提供を行った。スポーツデータバンク㈱代表取締役の石塚大輔氏は、地域クラブ全体の制度設計に関して指導人材、財源、運営、施設管理などの面からアドバイス。地域クラブの情報・安全の管理体制の必要性にも触れ「地域スポーツの連携は様々な自治体・団体が連携する過去にない取組。ルールからの逸脱、ルールがない故に問題が出る可能性もあるため、フォローアップ体制や共通認識を持つ要件が設定できれば」と指摘した。
一般社団法人SLDI代表の辻本智也氏は岩見沢市の取組について情報提供。5月に岩見沢市芸術文化・スポーツ環境推進協議会を設置して持続的な活動環境の確保に向けた検討を進めていることを報告したほか、拠点校方式の部活動としてサッカー、剣道、ソフトボールに加え、男子バレーボール、軟式野球の追加を検討する見通しを示した。
道教育大学岩見沢校准教授の武田丈太郎氏は、これまでスポーツ界に根付く「体育会的気質」が日本社会に適合する人材育成に寄与してきた一方、個人の権利の重視と効率性・効果性を追求する現代の子どもたちの価値観から逸脱している状況にあると指摘。子どもたちの多様なニーズに応じたスポーツ環境を再構築する重要性に言及し「地域スポーツ環境を構築する究極の目的は人づくり。多種多様な人と関わって“答えのない学び”をつくることで、20年、30年後、地域を支える人間になるかどうかに関わるだろう」と述べた。
(道・道教委 2024-09-04付)
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