道小 役職定年者動向調査 46%が学校現場で任用 経験生かせる勤務 求める声(関係団体 2024-09-05付)
道小学校長会(末原恵蔵会長)は6年度役職定年者動向調査結果をまとめた。教諭としての勤務が36・7%、特例任用や役付暫定再任用などを合わせると45・9%となり、定年延長に伴い学校現場での任用が増加している。一方、勤務内容に対する満足度は再就職者と比較して低い傾向にあり、校長としてのキャリアや人材育成能力を生かすことができる任用・勤務体系を求める声が上がっている。
5年度から段階的な定年延長が開始。役職定年制の初年度となったことから調査名や調査項目を変更し、役職定年後の任用状況を調査した。
3月31日に退職した156人が対象。回答率は62・8%。
定年前の計画・希望をみると、役職定年の特例として引き続き管理監督職で勤務する「特例任用」の希望者は16・1%、「役付暫定再任用」の希望者は6・5%となり、合計すると前年度より8・1ポイント高かった。
現在の状況は「再就職」が43・9%と最も高いものの、前年度から12・2ポイント下降。特例任用としての勤務者は校長・教頭計3人、役付暫定再任用の勤務者は主幹教諭2人。教諭としての勤務者は36人で役職定年者全体の36・7%を占めた。
再就職者の状況をみると、勤務内容は「教育委員会関係(アドバイザー・補導員など)」が53・5%と高く、「幼稚園・保育所」「社会教育関連施設」と続く。
勤務時間は「30時間以上」が81・4%で15・7ポイント低下した一方、給与は月額「20万円以上」が74・4%で0・5ポイント上昇。
役職定年に当たり必要だったと思うことは「再就職に関する情報提供」が25・3%と最も高く、「年金支給までの健康保険の延長」「退職後の人生設計」と続いた。
現在の状況に満足していると回答した割合は「再就職」が59・5%、「特例任用」が33・3%、「役付暫定再任用」がゼロ、「教諭としての勤務」が16・7%、定年前に退職して本来の定年時期まで再任用短時間勤務を可能とする「定年前再任用短時間勤務」が25%だった。
定年延長に伴う役職定年制度の在り方に関しては改善を求める意見・要望が多く、校長としてのキャリアや人材育成の能力を生かすことのできる任用、幅広い業務を選択できる役職定年制度の充実を望む声が上がっており、道小ではこれらが満足度に反映されていると分析する。
6年度役職定年等校長の動向調査(札幌市を除く)の考察概要はつぎのとおり。
現在の状況として最も多かったのは「退職して再就職している」が43・9%。次いで「教諭として勤務している」が36・7%でこれらの合計が全体の80・6%を占めている。
これらに特例任用等を含めると、約9割が何らかの職に就き、役職定年後の生活を支える必要性を感じている声は多い。学校現場での任用や再就職を希望する傾向は今後も変わらないと考えられる。
特例任用を希望していたのは16・1%(20人)で現在特例任用となっているのは3・1%(3人)である。内訳は、校長2人、教頭1人。
役付暫定再任用を希望していたのは6・5%(8人)で、現在役付暫定再任用となっているのは2・0%(2人)。内訳は、主幹教諭2人である。
教諭に降任することを希望していたのは、28・2%(35人)で、前年度の再任用の希望26・0%とほぼ同様だった。
現在教諭として勤務しているのは36・7%(36人)である。勤務内容は「学級担任」が44・4%(16人)で、次いで「教科専科や加配業務」が38・9%(14人)で、合わせて83・3%を占めている。
定年前再任用短時間勤務を希望していたのは、6・5%(8人)で、現在定年前再任用短時間勤務となっているのは4・1%(4人)である。勤務内容は「教科指導や加配業務」が1人で、「その他」として「初任者指導」1人、「特別支援学級副担任」2人である。
特例任用、役付暫定再任用、教諭、定年前再任用短時間勤務の合計は45・9%で、全体の約半数が学校現場で任用されている。
これらのうち、特例任用や役付暫定再任用を希望したのは、特例任用、役付暫定再任用がそれぞれ100%であったのに対して、教諭で22・2%、定年前再任用短時間勤務でゼロであった。
希望しなかった理由として「教員としての勤務に魅力を感じていたから」「これからの世代へバタンタッチしたかった」など教諭等の勤務に意欲を示す声がある一方で「地区内に特例任用や役付暫定再任用の採用予定がなかった」「特例任用に“校長”枠がなかった」「管理職を続ける気はなかった」という声が多かった。
「校長として定年を延長するべきである」「校長としての経験を生かせる任用を望む」など、定年延長に伴う役職定年の制度の在り方に対して、改善を求める意見や要望が多く寄せられている。
退職し再就職することを希望していたのは30・6%(38人)で、現在再就職しているのは43・9%(43人)。前述の学校現場での任用45・9%と合わせると、89・8%で、前年度の再任用(26・8%)と再就職(56・1%)の合計82・9%よりも6・9高くなっている。
再就職の勤務内容で最も多かったのは「教育委員会関係」53・5%で前年度とほぼ同様であった。社会教育関係施設や幼稚園・保育所、保健福祉関係など、再就職者の83・7%が公的機関に勤めている。再就職の1ヵ月当たりの基本給が、20万円以上なのが再就職者の74・4%で、前年度の73・9%より0・5ポイント高くなっていて、再就職の給与面の処遇改善が進められていると考えられる。
現在の勤務に対する満足度では、学校現場での任用され勤務することで「満足している」が、教諭の16・7%をはじめ、他の任用と合わせても17・8%であったのに対して、再就職に「満足している」が59・5%で、肯定的な評価が高く、対照的な結果となっている。学校現場での任用について、前述にあるように、校長としての任用や校長の経験を生かした任用を望む声や、給与が3割削減されることに対して改善を求める声が多いことが、満足度に反映していると考えられる。
役職定年時の不安解消のために「再就職に関する情報提供」「年金支給までの健康保険制度の充実」などが重要という回答が多く、引き続き、役職定年後の動向について調査結果の推移を見ていく必要がある。
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(関係団体 2024-09-05付)
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