札幌琴似中 山の手図書館と連携 様々な場面で読書機会創出 生徒が選ぶ思い出の一冊紹介(札幌市 2024-09-12付)
紹介する本を選ぶ生徒たち
札幌市山の手図書館の一角には、「生徒が選ぶ思い出の一冊」コーナーが設置されている。琴似中学校(三浦英悟校長)の生徒が発信した本の紹介文は地元住民からも好評で、貸し出し状態が続く。地域の図書館と連携した取組を切り口に、あらゆる場面で生徒が読書に触れる機会を創出している。
5日の放課後、図書局に所属する生徒18人が同館を訪れ、2冊の本を手に取った。探していたのは幼少期に読んだ絵本と、思い出の読み物。「見つけた!懐かしい!」「これ、大好きだったんだ」―。友人と思い出を語りながら、貸出カウンターへ足を運ぶ。絵本「あいうえおにぎり」と、フランスの盲学校教師の伝記「ルイ・ブライユ」を選んだ渋谷優月さんは「小さい頃の記憶がよみがえり、あらためて自己を振り返る機会になる。自分が好んで読んでいた本を、子どもたちも借りていると思うとうれしい」と笑顔を見せた。
同館には「思い出をつなぐ」と書かれたコーナーがある。学校司書の呼びかけで4年度から開始した取組だ。生徒は選んだ本を120字程度で紹介文としてまとめ「好きな理由」や「読むきっかけ」などを交えて、子どもたちの興味を呼び起こす情報発信に努めている。
前年度参加した生徒が紹介した本は現在、ほぼ貸し出し中とPRの効果は大きい。藤川眞浩図書館長は「生徒たちが意欲的に取り組んでくれている」と目を細める。「地域との連携は図書館の使命。区内の関係機関と連携し、地域とのつながりを大切にしていきたい」と展望する。
同校は、地域の図書館だけではなく、国語の授業を通して学校図書館(図書室)の活性化を図っている。調べ学習で図書室を訪れたり、紹介文を書く単元で本のPOPをつくる学習に取り組んだりすることで、生徒が本に親しむ環境を後押しする。
背景には本を読む生徒と読まない生徒の二極化が要因に挙がる。学校司書によると、全校生徒約750人のうち、1日に図書室に訪れる生徒は40~50人と1割に満たない。読書活動を促すため、1学期には夏季休業期間の課題として1人1冊本を選びに行く活動も取り入れた。
担当する葛西淳也教諭は「3年間を通して一度も図書室に足を運んだことがない生徒や、朝読書の目的を理解していない生徒も一定数いる。本に触れる機会を増やすことで興味・関心を高めることができれば」と期待を寄せる。
市教委が示す、札幌らしい特色ある学校教育の一つに位置付けられている「読書」。学校図書館地域開放事業など特色ある取組に加え、生徒と教員、地域の図書館が連携して本を活用した教育活動を推進していくことは、子どもたちの生涯にわたる学びの基盤づくりに生かされている。
三浦校長は「本を読むことは、あらゆる力につながる基礎力を養う大切なもの。本を活用した情報発信の取組を通して、生徒の豊かな人間形成を育んでいければ」と願っている。
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生徒が選ぶ思い出の一冊コーナー
(札幌市 2024-09-12付)
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