大学生メンタルヘルス支援研修会　就学支援　本質見極めて　札幌市　事例検討実習など

（札幌市 2024-09-11付）

　医療や福祉・教育などの関係機関で構成する札幌市自殺総合対策連絡会議は８月中旬、市内のＷＥＳＴ１９で、大学生のメンタルヘルス支援に向けた研修会を開いた。札幌市内近郊にキャンパスがある大学の職員ら１８人が参加。札幌医科大学神経精神医学講座が開発した「メンタルヘルス支援と問題解決アプローチのための教育研修プログラム」のレクチャーと模擬事例検討実習を通して、メンタルヘルス不調の状態の大学生への支援の在り方を学んだ。

　厚生労働省の４年度自殺統計で児童生徒、学生の自殺者数の内訳をみると、学生の総数は最多。学生の死因率の１位は自殺となっており、若者の自殺対策の推進が求められている。

　市の年間自殺者数は政令指定都市の中で５番目に多く、現在も年間の自殺者数が３００人を超える。対策として、市は自殺総合対策行動計画を策定し、自殺対策の取組を進めている。

　その一環として開かれた今回の研修会のレクチャーにおいて、札幌医科大の河西千秋主任教授が大学キャンパスにおけるメンタルヘルス支援の基本原則を解説。主治医との連携や家族との接続などを挙げ「大学も学校ではあるが、小・中学校のように人間形成を指導するのとは異なる状況にある」と対応の難しさを説明した。

　「大学に来なくなる学生はメンタルヘルス不調が懸念される。大学の専門職は情報収集に努めた上で、支援計画を立案し、実行に移すことで問題解決へのアプローチにつなげていくことが求められる」と就学支援の本質を見極める必要性を指摘した。

　模擬事例検討に移り、参加者はアルバイトや学業など様々な観点でメンタルヘルス不調との因果関係が予想される女子学生の事例について、グループ別に協議。学生のメンタルヘルス不調の内容と置かれた状況を様々な視点で把握し、効果的な問題解決を図った。

(札幌市 2024-09-11付)