特別支援教育体制整備調査 札幌市分 コーディネーター 専任44・2%全国超 インクルーシブ加配が奏功
(札幌市 2024-09-10付)

 文部科学省が公表した5年度特別支援教育体制整備状況調査結果から、札幌市の状況が明らかになった。特別支援教育コーディネーターを「専任」としている学校の割合が、全国を上回る44・2%に上った。市教委は、4年度から独自に実施しているインクルーシブ教育実践加配の効果的な活用などが考えられるとしている。

 調査は、特別支援教育に関し各学校において必要な体制の整備状況や取組の状況について把握し、特別支援教育を推進するための今後の施策の参考とすることを目的としたもの。

 国公私立の幼保連携型認定こども園、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校の5年5月1日現在の状況を調査した。

 校内委員会の設置状況は、全校種を合わせて99・7%。内訳は、小学校が99・5%、中学校と高校が100%だった。

 実態把握を実施しているのは95・9%。小学校が98・0%、中学校が92・0%、高校が87・5%となった。

 特別支援教育コーディネーターは、全校種全ての学校に配置。主たる職務として特別支援教育コーディネーターの役割を担うことができるよう、学校等で一定の配慮(学級・教科担任を持たないなど)がされている「専任」の割合は44・2%で、全国の17・9%を大きく上回っている。

 市教委は「インクルーシブ教育実践加配を効果的に活用している学校もあると考えられる」と分析する。

 個別の指導計画・個別の教育支援計画の作成状況は、特別支援学級と通級による指導で全校種100%。通常学級では、個別の指導計画が88・7%、個別の教育支援計画が87・3%となっている。

 一方、合理的配慮の内容を明記している割合は、全国の93・6%に対し66・6%と課題が見られた。市教委は、市内の学校が活用している「サポートファイルさっぽろ」に合理的配慮の記載欄が設けられていないことなどを背景として見ている。各学校に対しては、記載欄の有無にかかわらず、必要に応じて合理的配慮の内容を記載し確実に引き継ぐよう周知している。

 教員の専門性については、特別支援学校の教職経験がある割合が5・6%(全国1・9%)、特別支援学級担任の経験があるのが18・8%(同7・8%)などとなっている。

◆通級指導教室 新規開設を推進

 文科省が公表した4年度通級による指導実施状況調査結果によると、通級による指導を受けている市内の児童生徒数は小学校で1411人、中学校で336人、高校で11人だったことが分かった。

 通級による指導を受けている児童生徒が在籍する学校数は、小学校で185校、中学校で75校、高校で1校となっている。

 全国的な傾向と同じく、市内でも児童生徒数が上昇傾向にある。市教委は、ニーズに応じて通級指導教室の新規開設を進めていく考え。

(札幌市 2024-09-10付)

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