元校長の“学校アップデート!” №14 活動は目的ではなく手段である
(札幌市 2024-09-11付)

 特別活動は、個と集団の関係において「もろ刃の剣」と言われています。集団活動には、必ず同調圧力が発生するからです。現在の学習指導要領では、個の資質・能力の育成をねらいとしているので、集団から個への移行を図り、いかに多様性を受け入れる個を育むかに焦点を当てていくことが大切です。併せて集団の中に埋没する個ではなく、いかに一人ひとりが生かされる集団を形成するかが重要です。今までとは「出ていく社会」が違う子どもに必要な資質・能力を育もうとしているのに、学校は、いまだに昔ながらの村文化(みんなと一緒)を求めている傾向が根強く残っています。他者と合わせることで「なかよく」するのではなく、他者を許容することで「なかよく」する力が求められているのです。

 自分とは異なる多様な考えを持つ他者と折り合いをつけるためには、分かり合うことが必要不可欠です。今回の学習指導要領において「集団の一員としての自覚」という言葉がなくなり、「集団の形成者」という言葉が使われるようになりました。まず「集団」ありきではなく「個」が集団を形成するという考え方を強く打ち出したのです。

 特別活動では、目的意識と役割意識をしっかり持ち、望ましい集団活動を通して仲間意識と所属意識を高めていくことが大切です。集団活動においては、つぎの四つの意識が必要不可欠です。

目的意識:何のためにこの活動に取り組むのか

役割意識:目的の実現に向けて自分ができることは何か

仲間意識:集団の形成者としての思いの強さ

所属意識:集団の中に自分の居場所があるという自覚

 特別活動は、より良い生活や人間関係を築く資質・能力を高めることを目的としており、具体的な活動はあくまでもそのための「手段」です。しかし、活動したことを振り返らなければ、活動することが目的になってしまいます。振り返ることによって、自分の頑張りや課題を自覚し、つぎの活動につなげていくようにすることが大切です。

○係活動において、今までの活動を振り返り、自分たちの活動の仕方を見つめ直

 す場を設ける。

○クラブ活動・委員会活動・異年齢交流活動の終了時に短時間で振り返りの場を 設定する。

○学校行事の取組に「振り返り」の時間を位置付ける。

 振り返りは、反省や感想とは異なり、つぎの行動につながるように成果と課題を明らかにする取組のことです。

振り返り…自分の行動や言動、内面の傾向を客観的に捉え、改善点を見つけ出す     こと

反省…既に起きてしまった結果に対して、その要因や責任の所在を明らかにする   こと

 つまり、振り返りとは、自分が取り組んだことが目的の達成に向けてどの程度近づいたのかを考え、つぎの行動につなげるために改善策を明らかにする取組のことです。子どもが「頑張ったこと」「つぎの活動で頑張りたいこと」を振り返り、教師が子どもの良さを価値付けるように助言することが大切です。また、活動の節目で集団としての高まりを振り返ることも必要です。なお、学校経営において「反省」という言葉を使わず「振り返り」や「成果と課題」という言葉を使うと教職員の意識改革にもつながります。

北原徹也 (北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)

(札幌市 2024-09-11付)

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