ＤＸハイスクールの更別農業高　次世代農畜産技術習得へ　ＡＩ、ドローンなど先端機器導入

（学校 2024-09-26付）

　【帯広発】更別農業高校（室伏諭校長）は本年度、文部科学省の高校ＤＸ加速化推進事業（ＤＸハイスクール）の指定を受け、農業・畜産分野における最先端のＩＣＴ機器を導入した授業を開始する。ドローン、人工衛星による計測・検知データ、ＡＩ搭載のウシ向けウエアラブル端末などを順次導入し、９月以降から次世代の農畜産業に資する技術の習得に向けた授業を展開する予定。

　同事業は、高校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材を育成するため、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムの実施や、ＩＣＴを活用した探究的・文理横断的・実践的な学びを強化する学校を支援するもの。

　事業初年度となる本年度においては、道内から道立高校２９校、市町村立高校３校、私立高校８校が採択された。

　同校はトラクターに装着するＧＮＳＳ自動操舵システムやドローン、人工知能を活用したウシ向けウエアラブル端末などのＩＣＴ機器を順次導入する計画で、各種機器を活用して、農業・畜産の２分野においてデジタル人材の育成に資する授業を展開。

　持続可能な農業を担う人材の育成を目指すほか、仮説・調査・検証・改善の往還によって課題解決に向けたプログラミング的思考を持つ人材の育成を目指していく。

　農業分野においては、農業用・空撮用の２種類のドローンを導入。農業用ドローンでは農薬・肥料のピンポイント散布を実践して環境負荷の軽減を図るほか、空撮用ドローンでは人工衛星から取得した計測・検知データによってほ場データを作成し、実際の生育状況と比較検証を実施する。

　畜産分野においては、クラウドを活用した酪農・畜産生産者向けシステムや、ウシの分娩監視・発情発見システムを新たに導入する。検知・飼養管理データの可視化を図ることで、体温データと分娩兆候の関連性について学習を深めていく。

　本年度中に、農業用ドローンのライセンスを同校の教員と生徒が取得し、今後の作物栽培で活用するほか、地域の民間企業や帯広畜産大学と連携した授業を実施。農業ＤＸ先進企業などの視察研修も計画している。

　同校が所在する更別村は農業ＤＸの実証試験に取り組むスマート農業の先進地域であり、今回、導入した機器は就農者間でも利用されていることが多いという。

　同校の室伏校長は「最先端機器の導入によって、最先端の授業が展開できるようになることは大変喜ばしい。全ての農業高校で導入されることになるよう先駆けとなれたら」と期待を寄せた。

(学校 2024-09-26付)