SNSでの誤解防止へ函館西高 企業と連携し新機能考案 日本語入力アプリで予測変換等
(学校 2024-09-20付)

函館西高・テキストコミュニケーションに関わる探究成果
函館西高・テキストコミュニケーションに関わる探究成果

 【函館発】情報化の進展とともに、SNS等によるテキストコミュニケーションが日常に欠かせないものとなっている。函館西高校(古御堂徹校長)の生徒たちは、文章のやりとりを通じた表現の齟齬に着目し、企業と連携してテキスト入力時における新機能の考案に励んだ。誤解の少ない表現を提案する予測変換機能、誤解を招きやすい表現に対する注意喚起機能の2点が採用され、8月中旬から日本語入力アプリに搭載されている。

 昨年10月、当時の3年生が選択科目「国語表現」の中で始動した探究活動。文章でのやりとりでは「自分が伝えたい感情や思いが伝わらないと感じることが多く、誤解を招く恐れがある」と、実体験から着想を得て課題を設定した。

 解決に向けては、若年層に人気を博す日本語入力アプリ「Simeji」に着目。AIを活用して時宜を得た表現や多様な場面を想定した定型文を提案するなど様々な機能が搭載されている。生徒たちは課題解決に向けたアイデアをまとめ、バイドゥ㈱とコンタクトを取った。

 企業と連携して市場調査が始まった11月、現在の3年生4人が参画。調査結果の分析を通して、幅広い世代がテキストコミュニケーションに悩みを抱え、意思疎通の齟齬を防ぐ機能が求められている実態を目にした。活動を引き継いだ生徒は、企業とのオンライン会合や新機能の考案に励み、二つの案が採用された。

 一つ目は、意味の捉え方が複数ある表現を使用する際、誤解の少ない表現の候補を予測変換で提案する機能。連絡相手に対する「ふーん」という表現には「確かに」「なるほど」などの変換候補が提案され、正しい意図が相手に伝わるような配慮が施されている。

 提案した南條結衣香さんは「予測変換によって思考の整理にもつながる。言い換える言葉を考える中で、自分も使っていたかもしれないと振り返るきっかけになった」と話す。

 二つ目は、誤解を招く恐れがある表現を入力した際に注意喚起を表示する機能。市場調査の結果をもとに選定した齟齬が生まれやすい表現に対し、注意マークと共に「誤解を招く恐れがあります」と表示される。

 提案時、注意喚起をキーボード画面に大きく表示しようと考えた吉岡伯琉さんは、企業からの「自分が入力中に表示されたらどう思う?」との問いかけに考え直し、キーボード上部に表示するよう再提案。斉藤凜月さんは「利用者目線に立って“自分が使いたくなるサービス”を考えることは簡単なようで難しく感じた」と振り返る。

 佐々木亜珠さんは「アイデアが発展する中で課題の本質からズレることもあったが、原点に立ち返ることを大切にした」と、身をもって探究の過程を学んだ。

 8月中旬に東京都内で開かれた記者会見には、バイドゥのプロダクト部長を務める古谷由宇氏、企画に携わった卒業生、現3年生が登壇。古谷氏は「自分たちで(アイデアに)ストッパーをかけていたことに気が付き、僕らも学ぶことが多かった」と話した。

 先輩方の意思を受け継ぎ、企業と連携して成果を生んだ探究活動は、現2年生にも引き継がれる。現時点では、若年層に広がる闇バイトの勧誘や詐欺などの社会問題と関連して、テキストコミュニケーションの課題解決を模索する。

(学校 2024-09-20付)

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