札幌澄川小 地学協働で防災教室 避難所の課題考える 体験型グループワーク通し
(学校 2024-10-02付)


テント設営に取り組む児童たち

 札幌市立澄川小学校(附田裕哉校長)は9月19日、地域学校協働活動の一環で、防災教室を開いた。同校の3・4年生と地域住民、PTAが衛生面など避難所の課題を体験型のグループワークで確認。災害対応力を身に付ける契機とした。

 幅広い地域住民の参画を得て、地域の防災力を高めようと、本年度初めて企画。各教科で防災の知識を身に付ける機会が増える中学年を対象に実施した。

 教室では、危機能力を高めるため、砂漠を脱出するために必要な持ち物などを考える「マインドセットコンセンサスゲーム」を導入。友人と共に必要な物資を考え、水や鏡、コートは、捜索隊へ自分たちの位置を知らせる合図や、やけど防止につながる観点から生存力を高める確率が上がることを確認した。

 知識の必要性を確認した児童たちは「非常食」「衛生」「就寝」「プライバシー」の4グループに分かれて、災害時の対応を学習した。

 非常食のグループでは、食料備蓄庫で非常食の在庫数を確認。衛生のグループでは、断水でトイレが使用できなくなった際の対応を実践。保護者や地域住民が見守る中、児童は貯水タンクの容量を確認したり、バケツにくんだ水をトイレに流したりして、被災した際の生活を考えた。

◆札学院大・菊池教授 日常取り戻す支援を

 当日は防災士の資格を持つ、札幌学院大学心理学部の菊池浩光教授による講演会も実施。地域住民やPTAら約30人が参加した。

 菊池教授は東日本大震災や能登半島地震などの災害時に被害者の心のケアに努めた経験から「三つの安」と題し、安全・安心・安眠を与える環境整備の必要性を強調。パンデミックや異常気象など予想外の事態が発生した際は、悲しみや喪失感、不安、怒りなどの心理的反応を抱く傾向があると説明した。

 心の回復に向け、生活上の困難を軽減する援助や話を共有できるつながりによって「支えてくれる人がいるという実感が湧く」と分析。被災者自身が安全で安心できる生活環境を取り戻していくために、リラックスできる環境で日常を少しずつ取り戻していく支援の必要性を訴えた。

 参加者は質疑応答で子どもの心のケアや避難所での迷惑行為に関する対策などを質問。竹村真奈美PTA会長は「災害時の自助・共助・公助を学び、互いに手助けしていく環境が必要」と話した。

 同校では今後、各教科等横断的な学習を通して、防災学習を進めていく予定。

 取組を企画した大坂房江主幹教諭は「地域の方と子どもたちが顔見知りになることで、万が一避難所になった際に安心感が生まれると思う。今後も地域と連携した取組を進めていきたい」と振り返った。

(学校 2024-10-02付)

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