札幌啓北商高 2年商品開発と流通　起業家教育ＰＧを試行　コエルワ提供 新たな学びへ

（札幌市 2024-09-27付）

　市立札幌啓北商業高校（桑島宏明校長）は、起業家教育プログラムの再構成を進めている。本年度は2年生の選択科目「商品開発と流通」において（株）コエルワが提供する起業家プログラムを試行。生徒は創造力や課題解決能力を養う起業の視点を学び、社会を生き抜く上で必要な資質・能力を身に付ける。今後は「啓北の新たな学び」の一つとして、取組を全学年へ広げていく。

　産業構造の変化やグローバル化など、生徒の進路を巡る状況が大きく変化している昨今。児童生徒一人ひとりの主体性や社会的自立を促すキャリア教育の重要性が増している。教育再生実行会議の第７次提言では、多様な他者と協働し、新しい価値を生み出す起業家精神など、これからの時代に求められる資質・能力を育成するための教育活動を重視する必要性が指摘されている。

　同校では、これまで２年生の商品開発に関する学習の中でクラウドファンディングの手法を使った起業家教育を取り入れてきたが、本年度からはアントレプレナーシップの仕組みを体験的に学ぶ学習へ方向を転換。多様な教育事業を展開するコエルワが作成した起業家教育向け教材を活用し、2年生の選択科目で取組を試行している。

　１７日に行われた2年生の選択科目「商品開発と流通」では、同社の社員が来校。「大学進学のため、両親にお金を借りるにはどうしたら良いか」というテーマを設定し、生徒１３人に親を説得する方法についてグループディスカッションをさせた。説得力を高めるための手法を考える生徒たちに対し「自分の言葉で説得し、親に納得してもらうことが自らの枠を超えていく」「大学進学も新たな価値を生み出すアントレプレナーシップにつながる」と呼びかけた。

　参加した生徒は「今までの自分になかった新しい考え方を得ることができ、アントレプレナーシップとは意外と身近に存在するものだと知ることができた」と振り返った。

　今回の授業を契機に、同校では今後、学習内容や生徒への評価方法などを検討。独自の起業教育プログラムとして、学年全体に学びを広げることを検討している。

　添田裕一教諭は「起業家を目指すためのものではなく、生徒が社会人になった際、様々な変化や困難に対応できる能力を身に付けさせることができれば」と期待する。

(札幌市 2024-09-27付)