3定札幌市議会代表質問(9月27日)
(札幌市 2024-10-01付)

◆国や物価の動向注視し対応検討 給食費無償化 公費負担拡大

 札幌市教委の山根直樹教育長は、9月27日に開かれた第3回定例市議会における代表質問で、学校給食費の無償化や公費負担拡大について「国や物価の動向などを注視し、対応を検討していく」との考えを示した。

 市は物価高騰対策として、本年度の学校給食費に対する公費負担を約9億円に拡大した。

 併せて、子育て世帯の経済的負担の軽減に向け、国に財政措置を要望してきた。

 過日、文部科学省が学校給食に関する実態調査結果を公表したことに触れ「今後は、給食費無償化に向けた具体的方策の検討が見込まれる」との認識を示した。

 波田大専議員(日本維新の会)、脇元繁之議員(大地さっぽろ)の質問に対する答弁。

◆病院と折衝重ね受け皿の拡大へ 病児・病後児保育

 札幌市の町田隆敏副市長は、病児・病後児保育事業の充実に向け、病院との折衝を重ね受け皿の拡大に取り組んでいく考えを示した。

 市は、病気回復期の子どもを受け入れる「病後児保育事業」を平成11年度に開始。本年度からは、病気回復期以前の病児の受け入れを可能とした。

 本年度現在の受け入れ可能施設は、病児・病後児を合わせて7施設で、定員は各施設4人。5年度の利用実績をみると、希望者3767人に対し利用者は1552人にとどまっている。

 波田議員の質問に対する答弁。

◆生産者の思いに触れる機会創出 食育でICT活用

 山根教育長は、ICT等を活用して生産者の思いに触れる機会の創出を促すなど、食の重要性について理解を深める学びの充実を図る考えを示した。

 市教委は、平成21年度から「さっぽろっ子農業体験事業」を実施。研究推進校を年間30校程度指定し、外部と連携した農業体験などを推進してきた。

 30年度で事業は終了したが、現在はさっぽろ学校給食フードリサイクル事業の一環として、約200校でフードリサイクル堆肥を活用した栽培や収穫体験などが行われている。

 今後も、農業体験等を通じた食育の取組を積極的に推進していくとした。

 波田議員の質問に対する答弁。

◆問題懸念の場合は立ち入り調査など 保育施設の運営

 秋元克広市長は、保育施設の安定的な運営確保に向け「指導等に応じず問題が懸念される場合には、立ち入り調査など一歩踏み込んだ対応を行う」との考えを示した。

 市はことし7月、市内事業所が運営する保育園に対し認可取り消しの処分を講じた。今回の事案について「施設の責任を一方的に放棄するものであり、大変遺憾」と述べた。

 今後は、定期的な指導監査などを通して「引き続き各施設との信頼関係を築きながら施設の状況をよりきめ細かく把握し、必要な助言を行う」とした。

 和田勝也議員(自由民主党)の質問に対する答弁。

◆こどもまんなか社会実現へ取組 子ども未来プラン

 町田副市長は、7年度から始まる次期さっぽろ子ども未来プランの策定に当たり、子ども・若者、子育て世帯それぞれの視点に立ち「“こどもまんなか社会”の実現を目指して取り組んでいく」と強調した。

 現行プランを推進してきた中での課題として、子どもの自己肯定感の向上、子育て世帯のワーク・ライフ・バランスの確保、配慮を要する子どもと家庭への支援の拡充などを挙げた。

 さらに、ヤングケアラーなど新たに顕在化した課題への対応、妊娠前から出産・子育て期を通じた包括的支援の強化などの重要性を示した。

 次期計画では、新たに「子どもの貧困対策計画」「ひとり親家庭等自立促進計画」を統合し、子ども・子育て施策を一体的に推進する。「社会全体で子どもや子育て家庭を支える環境づくりを一層進めていきたい」と述べた。

 和田議員、定森光議員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

◆おやこ支援係長の配置在り方を検討 児童虐待防止

 町田副市長は、本年度3区に新設したおやこ支援担当係長の配置の在り方を検討するなど、虐待の未然防止に一層注力する方針を示した。

 市は本年度から、各区の健康・子ども課にこども家庭センターとしての機能を位置付けた。さらに、中央、北、東の3区におやこ支援担当係長を新設し、妊娠期からの連続した支援を強化している。

 3区では、支援担当職員の世帯訪問におやこ支援担当係長が同行し、必要に応じて母子保健・児童福祉合同のケース会議を招集するとともに、専門的助言を行うなど「支援の質がより高まっている」と報告した。

 和田議員の質問に対する答弁。

◆今後の提供の在り方検討へ 学校給食

 山根教育長は、今後の学校給食提供の在り方について検討する考えを示した。

 現在の市内の学校給食は、学校の給食室で調理したものを自校および近隣校に提供する形式で実施している。

 一方、多くの給食室の老朽化、将来的な調理・運搬の担い手確保など様々な課題が生じている。

 こうした課題に適切に対応するため、従来の給食提供方式にとらわれずに検討していくとした。

 和田議員の質問に対する答弁。

◆冷房設備を活用 小・中の避難所運営

 町田副市長は、小・中学校を避難所として活用する際、冷房設備の活用などを進めていく考えを示した。

 市立学校の冷房設備については、保健室は全校で整備が完了。普通教室等は、9年度末までに順次整備していく予定だ。

 体育館への整備については「冷房効率など様々な課題がある」との認識を示した。

 和田議員の質問に対する答弁。

(札幌市 2024-10-01付)

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