道教委がリーディングDXセミナー 小さな情報共有 大切に 組織的取組推進へ意見交換
(道・道教委 2024-10-08付)

 道教委は1日、リーディングDXスクール事業第2回オープンセミナーをオンラインで開催した。事業の指定校3校がICTを活用した授業改善の取組を発表。パネルディスカッションでは「組織的な取組の推進」をテーマに意見を交わし、個別最適な学びによる効果、教員のICT活用能力を高める工夫や秘訣を共有した。

 リーディングDXスクールは1人1台端末とクラウド環境を活用した好事例を全国に展開する文部科学省のモデル事業で、本年度は道内の小・中学校、高校11校が指定されている。セミナーは指定校の取組を発信し、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図る授業改善や校務DXを推進することがねらい。

 教職員や市町村教委のICT活用担当主事ら約190人が参加した。

 はじめにICT教育推進課の北川慎太郎課長があいさつ。管理職のリーダーシップのもと、全教職員でGIGAスクール構想の実現に向けた取組を加速させることが必要とし「研修で得た知見を多くの先生と共有し、それぞれの学校や地域において授業改善や校務DXを一層推進してほしい」と求めた。

 続いて旭川市立西御料地小学校の石田直也主幹教諭、旭川市立緑ヶ丘中学校の北村裕美教諭、帯広柏葉高校の山﨑広平教諭が実践発表。児童生徒の成果や困り感を把握するクラウドの活用方法や、動画・アプリなど多様な方法で協議・発表する子ども主体による授業の可能性を示した。

 パネルディスカッションでは文部科学省学校DX戦略アドバイザーの新保元康氏がファシリテーターを務め、教員のICT活用能力を高める組織づくりのポイントを協議。指定校からは、日常的な困り感やICTの利便性を共有する管理職のリーダーシップの重要性が指摘され「教員のニーズを管理職が拾い上げ、ICT担当教諭に相談することで実践の輪が自然と広がっている」「一気呵成ではなく、徐々に活用を広げていくことが大切」と意見した。

 端末やクラウドを活用した個別最適な学びによる効果も指摘され「(対面重視による)過去の授業のスタイルより明らかに授業の進行が早く、生徒の学びも深まっている」「説明・板書の時間を省き、本当に理解を深めていきたい部分を学ぶことができるなど一斉授業にない魅力が大きい」との声が上がった。

 最後に新保氏がまとめ。DXに成功している学校の共通点として、教員間で日常的な情報共有が進んでいる点に触れ、チャット、共同編集、動画クリップなどクラウドの各種機能を活用した非同期・分散による「小さな情報共有」の場をつくる大切さなどについて指摘した。

 授業での活用を進めるために校務・研修の場で扱いに慣れる大切さも指摘。個別最適で協働的な学びを実現するため「子どもに委ねる」授業に挑戦する大切さに触れるとともに、大型提示装置の設置場所の共通化や通信速度などの環境整備、個々の児童生徒の困り感を把握して必要に応じて指導する従来の教員の役割の重要性をあらためて指摘した。

(道・道教委 2024-10-08付)

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