個から協働の学びへ　授業改善セミナー道央　札幌琴似工高の特支教育紹介　道教委

（道・道教委 2024-10-08付）

道教委が授業改善セミナー（道央ブロック、特別支援教育）

　道教委は９月２７日、札幌琴似工業高校で本年度授業改善セミナー（道央ブロック、特別支援教育）を開催した。同校の渡邊典代教諭が職業高校で行う特別支援教育の実践を紹介。通級指導の実践を伝え、特別支援教育を考える上で個の学びから協働の学びへと考えを変える必要性を説いた。

　セミナーは、Ｓ―ＴＥＡＭ教育推進事業「ＳＴＥＡＭ」推進プロジェクト探究学習推進事業の一環。教員が各教科等で身に付けた見方・考え方を活用して、生徒が主体的に探究に取り組むことができるようになることをねらいに毎年開催しているもの。特別支援教育のセミナーの開催は初となる。

　はじめに道教委高校教育課の鎌田康平主査が行政説明として①合理的配慮における決定プロセス②個別の指導計画の作成・活用③高校における通級による指導④病気療養中等の生徒に対する教育保障―の４点について解説した。

　うち①では、合理的配慮を考える上で、生徒本人の意思を尊重することや生徒本人・保護者との双方の話し合いで決めること、決定した事項は双方で確認し、個別の指導計画に記載することなどを重要ポイントとして挙げた。

　続いて、札幌琴似工業高で通級指導と特別支援教育コーディネーターを務める渡邊教諭が「札幌琴似工業高校定時制課程におけるすべての生徒の発達を支える教育活動」をテーマに実践発表した。

　渡邊教諭は、道内の三つの特別支援学校の勤務を経験したのち、令和３年から同校に赴任。発表では、特別支援学校から職業高校で行う特別支援教育のギャップなどを中心に展開した。

　はじめに、同校定時制の概要や同校の実態などを伝えた上で「生徒の学習環境を整えたり生徒が自分で学びやすい環境をつくって高校生活を送ることが大事」と強調した。

　また、通級指導を受ける生徒の例を挙げ「教室で学ぶ勉強とは違う学びの楽しさを通級で経験することが積み重なり、生徒は教室で何かに取り組むことに対して自信がつく。そして個別指導でさらに楽しくなってやる気の向上にもつながる」と特別支援教育を考える上で個の学びから協働の学びへと変換する大切さを説いた。

　このほか、法務局での「人権擁護」の観点でインターネットトラブルを考える授業や、アルバイト情報社と協力した仕事を調べる際の検索の仕方を学ぶ学習など、特別活動の中で行っている様々な取組を紹介した。　

　このあと「地域の人材・資源を取り入れてみよう」をテーマに研究協議を実施。渡邊教諭の実践発表の内容をもとに、生徒に身に付けさせたい力や生徒の弱み・強みにさせたいこと、生徒の支援に関してできることやこれから実現させることなどを協議したほか、外部資源・人材を活用して、個の学びから協働の学びへつなげる取組などについて意見を交わした。

(道・道教委 2024-10-08付)