道教委 特支オンライン授業セミナー 表現の違いに着目し 帯広翔陽中の国語授業動画(道・道教委 2024-11-08付)
道教委は6日、特別支援教育総合推進事業6年度オンライン授業セミナーを開いた。帯広市立翔陽中学校の自閉症・情緒障がい教育学級の2年生国語科の授業動画を公開。参加者は、物語の翻訳作品読み比べを通して、生徒たちが「表現が違うと印象が違う」ことに気付いていく交流の様子を視聴したあと、個別最適な学びと協働的な学びの充実に向けて意見を交わした。
オンラインを活用した特別支援学級の授業参観や研究協議、助言などを通して、全ての教職員の特別支援教育に関する専門性向上を図るもの。本年度は、中学校自閉症・情緒障がい、中学校知的障がいの各1授業、小学校知的障がい2学級の計4学級の授業を公開する。
うち6日に開かれたセミナーには、教職員約40人が参加。帯広市立翔陽中の自閉症・情緒障がい特別支援学級(卯月ルミ教諭)における2年生国語科の授業動画を視聴したあと、研究協議を行った。
授業では、漢字の読み書きが苦手で文章を読むことに消極的な生徒の実態を踏まえ、ICTを活用して進んで他者の考えをくみ取ることができることを目指した学習を展開した。
卯月教諭は、物語「星の王子様」を活用し、2人の翻訳者による作品の印象の違いを考察する課題を示した。生徒に対し、翻訳の意味を確認させたあと、教科書を読む方法とタブレットの読み上げ機能を使う方法を提示。自らがより取り組みやすい方法で取り組むことを促した。その上で、読み比べて感じた違いや印象を、紙やタブレットの比較表に書き込むよう呼びかけた。
その間、卯月教諭とT2が机間巡視。取り組む課題を理解しているかを確認したり、困り感のある生徒の声を拾い上げたりしながら学習をサポートした。
このあと、生徒同士が交流。同じ場面でも、翻訳によって確認するせりふや疑問を投げかけるせりふに変化していることなどを確認し「一方は軟らかい表現だけれど、もう一方は硬い印象を受けた」「大人向けの表現のように感じた」などと意見を出し合った。
卯月教諭は、文末の違いに気付いた生徒の意見に着目し「敬語とそうではない表現では印象が違うね。どちらの王子様が幼く感じる?」などと問いかけ。登場人物の立場でせりふを考えるよう促したり、読み手によって受ける印象が異なることを伝えたりしながら生徒の発言を引き出し「表現が違うと印象が違う」ことに気付かせた。
授業後の研究協議では、板書に当たっての配慮事項や合理的配慮に基づいたテストでのルビ振りなどについて質問。卯月教諭はポイントを絞って板書量を少なくしていること、本人や保護者と協議の上でテストでのルビ振りを行っていないことなどを説明した。
このあと、参加者はブレイクアウトルームに分かれて、個別最適な学びと協働的な学びの充実に向けて意見を交わした。
最後に、道立特別支援教育センターの岡森博宣主査と道教育大学函館校の細谷一博教授が総括。岡森主査は児童生徒の実態把握の重要性を説いた。細谷教授は①児童生徒が本時のねらいを理解することが重要②自分なりの学びの方法が用意されている③自分の存在が集団の学習に必要とされている(仲間同士の対等性)―の3点が重要だと訴えた。
今後、12日に中学校知的障がい、26日および27日に小学校知的障がいの特別支援学級の授業動画を踏まえたセミナーを開催する。
(道・道教委 2024-11-08付)
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