【リポート】石狩花川小・赤塚教諭が研究 適切な二次支援を模索 担任とコーディネーター 認識に差(道・道教委 2024-11-12付)
各種研究論文で研究結果等の情報を収集する赤塚教諭
文部科学省の4年度調査によると、通常の学級に在籍する特別な教育的支援が必要な道内児童生徒の割合は、小学校8・8%、中学校3・1%。校内委員会において、特別な教育的支援が必要と判断されている児童生徒は推定で28・7%と、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が一定数いることが確認されている。
本年度、道教委の公立学校教員長期研修制度を活用し、道立特別支援教育センターの長期研修者として二次支援に関する研究を進める特別支援教育コーディネーターが、石狩市立花川小学校の赤塚邦彦教諭だ。
赤塚教諭は、同校に着任した4年度からコーディネーターを担当。着任当初は学級担任を務めながら「ほかの学級担任と、支援が必要な児童の実態把握に対して共通認識を図る難しさを感じていた」という。
こうした中、長期研修での研究テーマを「特別な教育的支援が必要な児童を二次支援につなげるための初期対応に関する一考察」と設定。「コーディネーターが通常の学級担任とどのように連携し、実態把握の共通認識を図るか」を視点に調査研究を進めている。加えて、二次支援が必要な子どもの初期対応に対する問題意識にも着目した。
◆児童の実態把握 担任との意識に差
研究の推進に当たって、各種研究論文から先行実践や研究結果等の情報を収集。先行研究での指摘から、児童の実態把握について「特別支援教育コーディネーターと学級担任の意識に温度差があるのではないか」という仮説を立てた。
石狩管内でコーディネーター歴が5年以上の教員を対象にインタビュー調査を実施した。連携面に考慮し、1学年の学級規模が2学級程度、通常の学級と特別支援学級を合わせて12学級以上の学校から6人を選定。コーディネーターと通常の学級担任の連携方法や、二次支援を行うための初期対応などを中心に聞き取った。
インタビュー結果から、共通シートなどを作成し、児童の実態を共有する校内システムをつくったり、コーディネーターが授業を観察し、児童の変化について意見を交わす機会を設けたりするなどの取組を行っている状況が明らかになった。
赤塚教諭はインタビューを通して「まずは学級担任とコーディネーターが無理なく連携できる校内体制づくりの工夫が大切だと分かった」と前を向く。
◆分析結果まとめ 1月に研究発表
11月以降、インタビュー調査の結果を受けて、コーディネーターにアンケート調査を実施することを検討している。
その後、二次支援につなげる初期対応の在り方を探る考え方を整理し、12月ごろまでに分析結果と経験年数との関係などを再度分析し、来年1月ごろまでに報告書をまとめ、研究成果を道内に発表する予定だという。
赤塚教諭は「今後、経験が浅い教員にも参考となるように成果をまとめ、道内で尽力する多くの特別支援教育コーディネーターに役立つ研究としていきたい」と力を込める。
特センの柏木拓也所長は「研究は、コーディネーターだけではなく管理職にとってもコーディネーターと通常の学級担任の連携を支える校内支援体制づくりのヒントになる」と述べ、赤塚教諭の研究に大きな期待を寄せる。
発達障がいに起因した登校しぶりや学習意欲の低下、孤立など、通常の学級での生活に悩む子どもたち。社会的適応能力に弱い面を抱えながら、周囲に気付かれにくい障がいであるが故に、通常学級でほかの子と同様の活動が求められる実態がある。本年度、道教委の長期研修制度を活用し、個別的・補足的な支援の研究に汗を流す特別支援教育コーディネーターがいる。通常学級の担任教諭とコーディネーターとの共通認識に差異が見られることに着目し、初期対応とともに、適切な「二次支援」の在り方を模索する姿を取材した。
(道・道教委 2024-11-12付)
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