学校研究と近隣校交流事業一体化 地域研究交流会を実施 小中一貫で子の育ち共有 札幌平岡公園小
(札幌市 2024-11-29付)

子の見方を広げる授業

 札幌市立平岡公園小学校(山下尊子校長)は本年度、学校研究と近隣小・中学校との交流事業を一体化した「地域研究交流会」を学校独自で実施した。全学年全学級の授業を公開し、パートナー校や近隣の幼稚園、保育園の教職員と共に子どもの育ちについて協議するなど、小中一貫教育に力を入れている。山下校長は「地区の子どもを真ん中にパートナー校等で実態を交流することによって地域の学校力を高め合っていければ」と話す。

 市内では本年度、札幌市教育研究推進事業(札教研事業)がパートナー校ごとの授業公開とするなど、小中一貫教育が本格化している。こうした流れを受け、10年以上にわたって秋季の授業交流に取り組んできた同校も校内研究と交流事業を一体化した「地域研究交流会」として在り方を変更した。

 交流会は22日に行われ、特別支援学級を含む全24学級の授業を公開。各学年が同じ教科で指導場面を共通化することで、指導案を作成する教職員の負担軽減を図る工夫も取り入れた。

 例えば、5年生は社会科「日本の工業生産の今と未来」を4学級一斉に公開。

 公開授業後の討議は学年別に行い、幼稚園・保育園の教職員は1年生、中学校の教職員は中・高学年、特別支援学級の討議に参加することで、児童の発達段階の接続を図った。参加者は「これから育てていきたい子どもの姿」をテーマに、児童の具体的な学習姿勢から見える成果と課題を授業者と共に交流。課題に関しては代案を検討することで地域の学校が一体的に主体的・対話的で深い学びの在り方を考えた。

 全学年・全学級の授業公開によって、パートナー校の三里塚小学校、平岡緑中学校、近隣の幼稚園や保育所の教職員は各学年・学級の子どもに応じた指導方法の工夫を参観し、それぞれの個性を確認することができる。

 こうした取組について山下校長は「学級によって異なる子どもの実態、教員の指導の工夫を個性と捉え、地域の異校種が連携して子どもの成長を支えていければ」と話している。

◆子の見方を広げる授業 5年社会 日本の工業生産

 授業公開のうち、5年1組の教室では佐藤祐樹教諭が、自動車の海外生産台数が国内生産台数を上回っている点に着目し、児童に消費者と生産者のメリットとデメリットを考えさせる学習を披露。海外生産に対する児童の興味・関心を引き付ける質問や資料提示によって、児童の見方・考え方を広げる工夫した授業を展開した〓写真〓。

 本時は日本の自動車企業が行う海外生産の広がりに着目し、その理由や影響について多角的に考える学習展開となっている。

 佐藤教諭は、昭和55年から令和3年までの日本の自動車の国内生産台数と海外生産台数の推移を表した折れ線グラフをデジタルサイネージに投影。年代を追うように少しずつ示すことで、年々海外生産台数が増え、国内生産台数が減っていく様子を示した。

 「国内生産が減ってしまって良くない」「海外生産に抜かれてしまう」と関心を示す児童の発言を取り上げ「どうして海外生産が増えると良くないの?」と発問。国内生産が減るデメリットを考えさせた。児童は「儲けが海外に行ってしまう」「輸出にかかるお金は減るけど、消費者にとって良い影響はないと思う」と発言。

 佐藤教諭は自動車を製造している国についてマスキングした世界地図を黒板に示し、海外生産が各地で広がっていることを視覚的に分かるようにした。「海外生産が増えると良くない」とのイメージを持つ児童一人ひとりの発言を聞き取り「全部輸出にしたら、どうなるかな?」と児童がメリットにも気付くことができるよう助言。自動車企業と現地国の立場からそれぞれのメリットとデメリットを考えるグループ活動に移行させた。

 児童は「材料費や人件費が安く、海外からの評価が高く得られる」「日本で災害が発生して工場が稼働しなくなった際も安心して生産が続けられる」など自動車企業のメリットや「技術が海外に盗まれてしまう可能性がある」といったデメリットを発表。より具体的に考え方を広げられるよう「誰にとって良いと思ったのかな?」と発問し、海外生産に対する理解を深めさせた。

(札幌市 2024-11-29付)

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