道議会質疑 一般質問(9月20日)
(道議会 2024-12-04付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼角田一議員(自民党・道民会議)

▼木葉淳議員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼北村英則総合政策部長兼地域振興監

▼野澤めぐみ保健福祉部子ども応援社会推進監

▼中島俊明教育長

◆子ども食堂

Q角田議員 道として、子ども食堂およびネットワーク化の進展をどの程度把握し、行政と子ども食堂関係のネットワークとの連携を進めているのか伺う。

 事業者や有志の方の支援が広がる一方で、地域や組織規模によって食材の受け入れ量の差、さらには、食材の安全性確保への厚生労働省からの指導もあり、実際に食品提供を受けた子ども食堂でも、食材の保管や他団体への配布での悩みがあるとの声を聞く。

 道として、子ども食堂の食材に関する課題をどのように捉え、どのような対応を考えているのか、また、支援の必要性についての所見を伺う。

A野澤保健福祉部子ども応援社会推進監 子ども食堂への支援について。子ども食堂は、地域住民等による民間発の取組として広まり、道の調べでは、6年4月末現在、80市町村、324ヵ所に設置され、道内4地域では、中核となる団体を中心に、運営者間の横の連携が図られており、道は、これら代表団体との間で、課題や好事例の共有を図る定期的な意見交換などを行うとともに、研修交流会等を通じて関係者のネットワークづくりを促しているところである。

 また、子ども食堂では、食材確保のため、企業等からの寄付のほか、フードバンクを活用しているが、提供される食品の種類や量のミスマッチなどの課題があると承知している。

 道では、連携協定を締結している企業等から、食品の提供等の申し入れがあった際には、子ども食堂側に保管や配送等の負担が生じないよう寄贈方法の調整を図るなどしており、今後とも、市町村や関係機関と連携しながら、子ども食堂におけるニーズ等の把握に努め、運営の安定化に向けて取り組んでいく。

◆子の体験格差

Q角田議員 3年9月に文部科学省が公表した、2年度青少年の体験活動に関する調査研究結果報告において、子どもの頃の体験は、未来社会を担う子どもたちの健やかな成長を確かにするために必要な要素であることが示されている。

 しかし、昨年7月に公表された、民間非営利団体による子どもの体験格差実態調査では、貧困や親の収入格差が、スポーツや文化芸術活動などの習い事や自然体験、文化的体験など、子どもたちの学校外での体験活動の格差に影響を与えていることが示された。

 また、同調査では、低所得世帯において、保護者自身が小学校の頃に体験活動に参加していなかった家庭の子どもは、学校外での体験活動に参加する割合が低いとの結果から、親の幼少期の体験と貧困の世代間連鎖の関係が指摘されており、地域における体験活動がますます重要になってきていると考える。

 青少年の体験活動についての認識を伺うとともに、本道の広域性から都市部と地方部での実態も異なると思われることから、本道の体験活動に関する状況や、家庭や地域の抱える課題など、実態を把握する必要があると考えるが、所見を伺う。

A中島教育長 青少年の体験活動について。体験活動は、幼少期から青年期まで、多くの人と関わりながら体験を積み重ねることによって、社会を生き抜く力として必要となる基礎的な能力を養う効果があり、また、文科省における調査分析によると、小学校の時に体験活動などを多くしていると、家庭の環境にかかわらず、その後の成長に良い影響が見られるとされている。

 道教委としては、全ての子どもたちが様々な体験にチャレンジできる機会や場を設けることが重要であると認識しており、各地域の取組状況や、子どもたちの放課後や休日の過ごし方の状況等を把握した上で、市町村とも課題を共有しながら、一体となって体験活動の充実に向け取り組んでいく。

Q角田議員 体験格差の視点はもとより、コロナ禍を経て、子どもたちの体験活動が減少していることも踏まえると、体験活動の場の充実や、子ども会等の地域指導者の担い手への支援や育成などが重要と考える。道教委として今後どのように取り組むのか、所見を伺う。

A中島教育長 子どもの体験活動の充実に向けて、道教委では、地域活動の担い手である社会教育士の育成を推進するため、社会教育主事講習をオンライン化し、資格取得後の支援にも取り組んでいるほか、ネイパルにおいては、子どもの活動を支えるボランティアの育成を図るとともに、周辺の自然環境を生かした体験プログラムを設定するなど、子どもたちが体験活動に親しみやすい環境を整備している。

 今後は、体験活動の重要性や道教委の取組について、あらためて保護者に対して啓発するとともに、全ての子どもが置かれている環境に左右されることなく、体験活動の機会が十分得られるよう、家庭、地域、学校が連携し、社会全体で多様な体験を土台とした子どもの成長を支える環境づくりを進めていく。

◆高校統廃合とまちづくり

Q木葉議員 全国を上回るスピードで人口減少、少子・高齢化が進む本道。地域の暮らしを、地域の雇用を、地域の社会をいかに守るか、地域の創生は何より重要な課題である。

 現在、道教委が主体となり地域別検討協議会を開催し、指針に基づき、高校の配置計画を策定しているが、人口減少が進む中、将来を見据えた地域創生が求められる本道の現状を踏まえれば、学校の果たす役割は極めて重要である。

 今後、道は、学校との連携によって、どのように持続可能な地域づくりを進め、地域創生に生かしていくのか、所見を伺う。

A北村総合政策部長兼地域振興監 高校と連携した地域づくりの取組について。本道においては、若年層を中心に道外への転出超過が続いており、若者が地域に定着するためには、生まれ育ち、学んだ地域に対する愛着の醸成や、安定的な所得が得られる就業の場の確保など、ふるさとへの愛着と自己実現が可能となる環境をつくり上げていくことが重要である。

 このため、道では、振興局が地元高校と連携・協働し、高校生を対象として、地域資源の活用によって課題解決に取り組むワークショップの開催や、フィールドワーク等を通じたゼロカーボン教育の実施など、地元貢献を実感できる特色ある事業を展開し、地域の未来をつくっていく人材の育成に向けて取り組んできたところである。

 道としては、今後も、引き続き、振興局と教育局、市町村が一体となって、地元高校生をはじめ、若者の可能性を引き出す取組を進め、地元定着の促進を図り、誰もがその個性と能力を十分に発揮し、生き生きと暮らすことのできる地域づくりに取り組んでいく。

P木葉議員 基本戦略にも、未来を担う子どもたちの成長を支える教育環境の充実とあり、非常に重要な取組と思う反面、基本戦略には、移住定住の促進、外国人材の受け入れ拡大、関係人口創出、新たな人の流れとも記載されている。確かに大切な取組だが、外からの人を増やす前に、今、そこに暮らしている人をもっと大切にすべきではないか。

 人口問題と高校の統廃合は密接に関わっている。高校の在り方も、時代とともに変わってきている。

 地方の高校でも、生徒の目標に応じ、充実した授業を受けられる授業配信、T―baseの拡充、生徒が少ない部活動の合同チームでの大会への出場も当たり前となってきた。

 道として、地方の高校を統廃合することよりも、どうやって地方に高校を残すのか、その基盤となる取組が必要である。高校の配置を教育関係部局のみの取組とするのではなく、総合政策部をはじめとした部局横断的な取組とする必要があることを指摘する。

◆子ども施策

Q木葉議員 子どもの成長とともに仕事を再開、就学前の育児をしている家庭の半数以上が共働きとなっている。こうした中、かぜ、インフルエンザなどの感染症等の流行によって、子どもを保育所に預けることができず、仕事も休むことができない、こうした際に病児保育を利用する方が数多くいる。

 現在、道内に76ヵ所の病児保育施設があり、約10年間で31施設増加、非常にニーズがある施設と言えるのではないか。

 一方で、病児保育施設は、利用する子どもが多い日もあれば、少ない日もある。予定が立てにくく、看護師や保育士の確保が難しい状況である。

 病児保育施設の拡充に対する道の考えを伺うとともに、現状の課題認識と今後の対応について伺う。

A野澤保健福祉部子ども応援社会推進監 病児保育について。子どもが病気の際に、保護者が、就労等のため、自宅での保育が困難な場合に、病院や保育所などにおいて子どもを一時的に保育する病児保育事業は、子育て支援として大変重要であり、道では、国の補助事業を活用しながら、市町村に対し、施設の開設費用や運営費の支援を行い、その拡充を進めてきたところである。

 また、子どもの感染症の流行状況などによって利用者数が増減するなど、事業の安定的な運営が課題となっていることから、これまで、全国知事会を通じて国に対して財政支援の充実を求めてきたところであり、国では、6年度から、運営費に係る補助基本単価を引き上げ、当日キャンセルがあった場合の報酬上の加算も設けたところである。

 道としては、地域のニーズに対応した受け入れ体制が整備されるよう、今後とも、市町村に対し、補助制度の活用を働きかけるとともに、人員や場所の確保といった課題への助言を行いながら、病児保育事業の拡充に取り組み、働きながら安心して子どもを産み育てられる環境を整備していく。

Q木葉議員 昨年6月、知事が再任し、市町村長にも宣言を求めたこどもまんなか応援サポーターだが、ことし3月時点で全道5市にとどまっている。現状を伺うとともに、この間の取組と、市町村での宣言が進んでいないとしたら、その原因をどのように分析しているのか、伺う。

A野澤保健福祉部子ども応援社会推進監 こどもまんなか応援サポーターについて。道では、子どもや子育て中の方々を応援する本取組に、企業や市町村等が参加していただけるよう、これまで、こども家庭庁と共催したシンポジウムにおける啓発や、経済団体と連携した周知などに取り組んできたところであり、現在、44の企業や団体が宣言を行うなど、子どもや子育てに優しい社会の輪が着実に広がってきている。

 また、これまでの参加市町村は全道で5市となっており、このうち、札幌市と深川市の取組が好事例として、こども家庭庁のホームページで紹介されている。

 応援サポーターは、身近なところで、また、それぞれの方ができる範囲で、子どもや子育てを応援し、SNSで発信することで社会全体の意識改革を進めていこうという取組であり、道としては、こうした趣旨が市町村に理解され、取組に参加いただけるよう、各種会議など様々な機会を捉えて呼びかけていく。

◆教職員の旅費

Q木葉議員 学校教育においては、教育課程に旅行的な行事が組み込まれているが、昨今の物価高騰の影響を受け、宿泊代等が高騰し、引率する教職員に宿泊料として支給されている額9800円では対応できないとの声を聞いている。

 この額は34年前に規定されたものであり、宿泊費はこの数年でコロナ前の1・5倍以上となり、現状にそぐわないものとなっている。現状に合った宿泊料を支給すべきと考えるが、教育長の所見を伺う。

A中島教育長 教職員の旅費について。修学旅行などに係る教職員の引率旅費は、旅費条例に基づき支給しているが、宿泊料については、条例に定める額の範囲内で対応することを基本としながら、昨今の物価高騰やインバウンド需要の高まりなどによって、所定の額で宿泊先を確保することが困難な場合には、条例に基づき、増額して支給できる特別な事情と認め、実際に宿泊に要した額を支給している。本年度は、これまで、修学旅行など156件について増額措置を行っている。

 道教委としては、今後とも、修学旅行などの行事が適切な経費負担のもとで実施されるよう、宿泊料増額の取り扱いについて、学校や市町村教委に周知徹底していく。

(道議会 2024-12-04付)

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