道実践的安全教育モデルの上ノ国町 通学路マップ 危険個所を確認 上ノ国小拠点に全町的取組(道・道教委 2024-12-06付)
【函館発】道教委「北海道実践的安全教育モデル構築事業」に指定されている上ノ国町は、上ノ国小学校(=川聖校長)を拠点校に、交通安全に向けた全町的な取組を進めている。2小学校の児童による通学路安全マップの作成、危険個所の洗い出しによる現地点検個所の充実などを推進。11月中旬には拠点校で、教科指導と安全教育を組み合わせた授業が公開された。
拠点校の上ノ国小の校区内には、北海道初のラウンドアバウト交差点が設置されている。環状の道路に一時停止位置や信号機がないなどの特徴があり、危機意識の高揚によって交通事故の軽減効果を図っている。
一方で、国道および道道、町道が交わることから交通量が多く、小中高生の通学路としての使用に際して、安全確保が喫緊の課題に。児童生徒の交通安全に対する意識向上、地域住民への交通ルールの周知徹底を図ることを目標に、同事業を進めている。
関係各所と学校管理職による町通学路安全推進会議は、例年の現地点検個所に変更がなかったことから、ここ数年は活動が縮小。事業指定を機に参集し、児童生徒や地域の意見・要望をより広く集約しようと、機能を復活させた。現地点検に加え、交通安全週間等には安全意識の向上を目指して、交通安全指導や見守り活動を実施。地域と連携しながら、通学路の安全確保に努めている。
危険個所の洗い出しに当たり「町通学路安全マップ」を上ノ国小、河北小学校で作成している。上ノ国小は、校区内の地図が描かれた模造紙に、児童が日頃の生活で感じた危険な場面を付箋に記して貼付。河北小は、社会科授業で児童がマップ作成に取り組んだ。
また、上ノ国小児童を対象にアンケート調査を2回行い、事業前後における児童の交通安全に対する意識の変容を見取る。12月には教職員および保護者に対しても調査を実施し、学校と家庭における子どもへの指導や教育状況を把握する。
協力校の河北小、上ノ国中学校、上ノ国高校に向けては、拠点校の取組を発信しており、学校安全計画の見直しや改善を期待。11月には上ノ国小で公開授業を行い、単元指導に関わって、児童が自ら地域の交通事情や交通安全に対する考えを深め、危機管理意識を高める授業の在り方を広く普及した。
◆地域の安全考える 3年社会授業公開
公開授業は、上ノ国小3年生の社会科授業「事故や事件からまちを守る」(青坂康平教諭、児童数14人)。町内の教職員や地域住民らが参観した。
前時までに、交通事故に関するデータや事故対応に関わる仕事などを学び、安全な交通環境の在り方に理解を深めてきた。8時間扱いの5時間目となる本時、めあてを「地域の交通安全について考えよう」と設定し、地域に焦点化して授業を展開した。
導入時、ラウンドアバウト交差点が町内に設置された経緯や目的を動画視聴によって確認。交通事故軽減に効果がある一方で、ドライバーや歩行者に危険がないかをグループに分かれて話し合った。
ラウンドアバウト交差点の航空写真を見ながら、児童たちは「道路に“ゆずれ”と書いてある」「人が歩く方が優先だけど、横断歩道は左右をしっかり見た方が良さそう」など、ドライバーと歩行者の両視点から議論。「信号がないから、暗い時は見えづらそう」「車がぶつかりやすい所が多い」と、想像を膨らませた。
青坂教諭は校内で作成を進めている交通安全マップを提示し、歩行者として危険を感じた場所や場面を発問した。児童たちは実体験を踏まえて付箋に記し、マップ上に貼り付けていった。
ラウンドアバウト交差点の周辺以外にも「スポーツセンターの辺りは信号がないから気を付ける」「消防署付近は坂道が多いため、自転車で走る時に危険」「ジョイ・じょぐら(総合福祉センター)は駐車場が広くて車が多い。学童に向かう道だから、立ち話をしていると危ない」など、多様な意見が上がった。
多くの付箋で埋まった交通安全マップを見ながら、全体で意見を交流。危険個所の安全な通り方を確認し、学習を振り返った。
今後の授業では、地域の安全に向けて自分たちにできることを考えたり、事故や事件からまちを守る働きを関係図にまとめたりすることで、さらなる危機意識の高揚を図る。
交通安全マップを活用した授業は3年生社会科のみとなるが、正面玄関に設置して全校児童から意見を募っている。
(道・道教委 2024-12-06付)
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