道教委がICT活用全道協議会 個別最適・協働的学びへ 信州大・佐藤准教授が解説
(道・道教委 2024-12-20付)

ICT活用全道協議会
ICT活用全道協議会

 道教委は18日、ICT活用全道協議会をオンライン開催した。信州大学教育部の佐藤和紀准教授が「今、求められる授業~ICT活用を学習基盤とする“個別最適な学び”と“協働的な学び”の一体的な充実に向けて」と題して講演。全国の実践事例をもとに、主体的な学びを実現するためのポイントを伝えた。

 ICTを活用した学びのDX事業の一環として開催。各校種の教職員、市町村教委のICT活用担当者ら約350人から参加の申し込みがあった。

 開会に当たり山口利之ICT教育推進局長は「児童生徒が学びの中で何に気付き、何が分かり、何ができるようになるのか、そのためにICTの活用を含めて授業をどう改善していくかをあらためて学び合い、理解し合う場になれば」と期待した。

 続いて信州大の佐藤准教授が講演。佐藤准教授は、個別最適な学びと協働的な学びの様相を「授業を構成する多様な要素の選択、判断、決定の連続」と例え、自らの意思で選択・決定する自律性、肯定的なフィードバックや適切な支援・助言を担う教員の関わり、「他者と良好な関係を築きたい」という欲求を満たす学習活動の重要性を説いた。

 授業づくりの土台として、タイピング速度などのICTの基本操作能力、教科書からの情報の読み取り、整理する力を示し、これまでの一斉指導でも重視されてきた「適度な緊張感」「机上の整頓」「個々の見取りや状況把握」の大切さをあらためて強調した。

 ICTを活用した授業改善を進める上で、校務・研修でアプリケーションに慣れることが重要とし、教員の学びと子どもの学び方が「相似形」になるよう活用を進めていく必要性を示した。

 引き続き「小・中学校」「高校」「特別支援教育」「管理職」「DXハイスクール」の五つの部会に分かれICT活用の一層の充実に向けて発表・協議。新しい学びを保護者に説明する方法、特別支援教育におけるICTの活用、教育活動に有効なアプリケーションなど多彩なテーマで意見を交わした。

 最後に佐藤准教授、新保元康氏、青木高光氏、菅野光明氏ら文部科学省の学校DX戦略アドバイザーによる座談会を実施した=写真=。

 佐藤准教授は、教員が苦手意識を抱かないよう「負荷」の少ない校務環境をつくる重要性に触れ「“いろいろなことを覚えなくてはいけない”ではなく“一つさえ覚えればいい”“いつでもそれがやれる”という状況をつくり出していくことが大切」と述べた。

 菅野氏は、ICTに習熟する若手教員と指導力に優れるベテラン教員が持つスキルを融合させ、共に研鑚を深めていく必要性に言及。学校のみならず変化する外の世界を見つめ、知識をアップデートする姿勢の重要性を示した。

 青木氏は、多様な学習形態が教室に混在することで、子どもたちの中で上下関係を生み出す可能性を懸念。「アプローチの仕方はバラバラで良いと思える学校全体としてのマインドセットが必要」とし、子ども同士が学習方法を認め合う文化を醸成する必要性を説いた。

 新保氏は、基本となる教師の「指導力」の重要性に触れ「技術の進化は素晴らしいが、先生方がこれまで培ってきた教室づくり、学級経営、指導力が本当に重要。ICTも十分活用し、さらに前進していければ」と締めくくった。

(道・道教委 2024-12-20付)

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