学力向上フォーラムin網走  様々な立場で教育支援  ワークショップなど実施
(市町村 2024-12-23付)

学力向上フォーラムICT活用講座
学力向上フォーラムICT活用講座

 【網走発】網走市教委と網走市学力向上推進委員会(三村尚広委員長)は14日、市立中央小学校で第12回学力向上フォーラムin網走を開いた。テーマは「新しい時代を生きる子どもたちのために、学校・家庭・地域がともに学び・考える」。ICT活用や特別支援教育、学校図書、地域の特色など九つのブースに分かれてワークショップ型研修講座を行い、様々な立場から児童生徒の学校生活、教育活動を支える在り方について学び、考えた。

 フォーラムには、管内学校の教職員や保護者、教育行政職員、教育関係者、大学生、一般市民ら約140人が参加。

 開会式で岩永雅浩網走市教委教育長は「教職員がどのような思いや願いを持って日々、子どもたちと向き合っているかを知っていただき、子どもたちの望ましい成長について共に考える機会にしてほしい」と述べた。

 来賓の桑原知己オホーツク教育局長は「フォーラムで得られた成果をあすからの学校運営や授業改善、家庭教育に積極的に活用し、子どもたちの資質・能力の育成に向けた取組にまい進することを期待する」と呼びかけた。

 ワークショップ型研修講座は、第1部で4ブース、第2部で5ブースの計9ブースを各20分間、2回ずつ開講。参加者は自由に受講した。

 第1部講座のうち、ICT活用「学習者視点でChromebookの活用体験」=写真=は、網走市立東小学校の谷口寛人教諭らが講師を務めた。

 小学校からクロームブックを使うのは「失敗させながら、社会を生き抜く力を育み、子どもの可能性を広げるため」とし、ICTが新しく学校に入ってきたのではなく「世の中では当たり前だが、学校では足りなかったICTを取り入れ、学校でも世の中に追いつくと捉える」との認識を示した。クロームブックがあることで、児童の学び方の変化を実感したことから、児童の可能性を広げるために使っていくことを確認するとともに、ICTによって働き方も変化したことを挙げた。

 このあと、受講者は児童がクロームブックを使って日常的に行っている学習活動を実際に体験した。

 同じく特別支援教育「“子どもに寄り添う支援”ってどういうこと?」で講師の中央小の竹村さつき教諭は、支援者が大切にしたい視点について解説。受け止める、共感する、問題を解決するための手伝いをするの3点から支援の在り方を考え「その人の存在そのものを肯定する」「相手が必要としている援助を判断して提供する」「問題の困難さの程度、サポート・手伝いをする周りの人の意識、本人の意識・困り感に合わせた支援・配慮・工夫を考える」などのポイントを説明した。

 支援の場で大切にしたいこととして「学ぶ楽しさ、学ぶ喜びを育む多面的な支援」「子どもが気付くきっかけとしての支援の場とする」ことを挙げ、学校や保護者、行政、相談施設、医療関係者らが児童生徒を中心に支援の輪をつくることが大切とした。

 第2部の講座のうち、学校図書「“学校って楽しい?”学校図書館を活用した学びの充実」は、浜田冴子学校図書館司書らが担当した。

 学校図書館は、児童生徒の読書センターおよび学習・情報センターの機能だけではなく、教員のサポート機能もあることから、積極的に活用するよう呼びかけた。

 併せて、児童生徒に居場所を提供することも重要な機能であるとし、事例を紹介した。

 世の中に好きなことがたくさんあることが児童生徒の「生きたい」「もっと知りたい」「学びたい」という意識につながり、ひいては学力向上に結び付くことを確認し、そのためにも、学校図書館を活用することを求めた。

 地域の特色「スタート!!小規模特認校~呼人小中学校の取組」では、市立呼人小中の神田秀樹校長が、来春から市初の小規模特認校となる自校の特色として、歴史ある小中一貫教育、きめ細かな少人数指導、充実の体験学習、恵まれた教育環境を挙げたほか、「市全体で子どもたちや保護者の多様な教育ニーズに応えていく環境づくりが大切であり、その一翼を呼人小中が担いたい」との考えを示した。

 全体会では、中央小の矢野紘教諭が岩手県盛岡市立仁王小学校の視察内容を報告した。

 このほかグーグルフォーエデュケーション日本統括で網走市教育デジタルフェローの小出泰久氏が「世界から見た日本の教育のこれから」と題して講演した。

 研修講座のテーマ、講師はつぎのとおり。=敬称略=

▼第1部

▽ICT活用①端末、CBT体験「学習者視点でChromebookの活用体験」=網走市立東小教諭・谷口寛人、佐藤朋弥、伊地知卓也

▽複式授業「西が丘小の目指す複式の授業作り」=網走市立西が丘小教諭・小林健、小形正美

▽特別支援教育「“子どもに寄り添う支援”ってどういうこと?」=網走市立中央小教諭・竹村さつき

▽小中連携「9年間でWell―beingを実現するために~学校力向上に関する総合実践事業を通して」=網走市立網走小主幹教諭・吉崎紘一郎、網走市立第一中主幹教諭・佐藤大志

▼第2部

▽働き方改革「南小の働き方改革」=網走市立南小教頭・田中敏文

▽ICT活用②デジタル教科書「デジタル教科書活用実践の紹介」=網走市立第四中教諭・工藤愛弥

▽学校図書「“学校って楽しい?”学校図書館を活用した学びの充実」=網走市学校図書館司書・浜田冴子、近藤洋子、小池祐里奈、塩野谷愛美

▽食育「給食におけるICTを活用した食育」=網走市栄養教諭部会・藤島政義(西が丘小)、小島章菜(網走小)、永山友香理(中央小)、剱持瑞帆(西小)、梶原成美(南小)、川畑亜矢子(潮見小)

▽地域の特色「スタート!!小規模特認校~呼人小中学校の取組」=網走市立呼人小中校長・神田秀樹

(市町村 2024-12-23付)

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