檜山 全教科で14管内トップに 国語 全国大きく上回る 全国学力等調査 小学校分(市町村 2024-12-04付)
【函館発】6年度の全国学力・学習状況調査で、檜山管内小学校の全教科が14管内別でトップとなった。特に国語の平均正答率は、全国および全道の平均値を大きく上回る74・3%を記録。本道の経年的課題とされる「書くこと」の領域においては、管内7割の自治体で高水準を誇る。中でも、江差町と今金町では、児童の実態に応じて国語科の領域別に例年の校内研究を構成したり、全町的に表現力等を高めたりする取組が進められている。
小学校国語科において、思考力、判断力、表現力の評価に「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の3領域を位置付けている。調査問題では、実際の言語活動を想定した問題形式が取られ、解答には場面や状況を把握する力が必要になる。
有識者の結果分析では「“考えの形成、記述”に係る指導事項の定着については、小・中学校共に経年的に見られる本道の課題の一つ」と「書くこと」の領域に対する改善点が示唆されている。
全国学力・学習状況調査において、檜山管内小学校の結果は例年高い傾向にある。特に本年度、国語の平均正答率は74・3%となった。全道の経年的課題とされる領域「書くこと」に関しては、7町中5町で全国および全道の平均正答率を上回った。
江差町立江差小学校では2年度から3ヵ年で「書くこと」の領域に着目した校内研究を進めてきた。朝活動のうち週1回、10分間で文章を書く「ミニ作文」、児童が自ら文章を推敲する習慣の定着を図る授業など、多様な場面を用いて児童の表現力等の向上を推進。発達段階に応じた推敲チェックシートなどを作成し、指導内容の充実を図ってきた。
5年度からは児童の実態から「読むこと」の領域に重点を置き、道教育大学附属函館小学校と協働して研究を展開。「精査・解釈」の指導事項を踏まえ、文章の内容把握とともに、叙述を根拠にした考えを持って自他との対話によって思考を深めるための授業づくりを推進。前研究に続き、児童が教材の文章構造を把握して内容理解を深め、表現したり伝え合ったりする中で自己の考えを広げる授業を展開している。
また江差町では、ICT機器の効果的な活用と「手で書く活動」「声で伝え合う活動」などを融合させた学習が意識付けられている。町教委は「デジタルとアナログの手法を使い分けることで、児童生徒が自ら考え表現する力を育む上で相乗効果が生まれたら」と期待を寄せる。
今金町では平成23年度、全国学力・学習状況調査から国語科の結果に課題を抱き、「読書(input)と作文(output)のまちプロジェクト」を立ち上げた。学校・家庭・地域が協働し、子どもの学ぶ力と生きる力を育む取組で、「今金町の子どもたちは今金町民の手で育む」をキーワードに据えている。
読書活動の推進から始まり、30年度からはプロジェクトチームを設置することで、学力との結び付きを検証する意識を強めた。令和元年度からは「いまかねエッセイ(作文)コンテスト」と題して、統一テーマのもと発達段階に応じた文字数の作文を夏季休業期間の課題とする全町的な取組を始動。例年11月の家庭教育イベントで表彰式や朗読を行うなど、子どもの活動成果を地域の大人が認めたたえる場を設けている。
このほか、社会教育事業等においても活動の振り返りに重点を置いたり、町有バスを用意して町民センターの図書館で学校図書室にはない本に触れる機会をつくったりするなど、あらゆる場面でプロジェクトの目的に沿った活動を推進。町教委は「今後は、コミュニケーションを通した表現力を、社会教育と学校教育の両観点から育んでいきたい」と話している。
檜山教育局の横地康恵義務教育指導班主査は「管内では国語科に焦点を当てた校内研究が多い傾向にあり、小・中学校で実践が共有されていることが一つの強み」と分析。「低学年から自分の考えを整理して伝える活動が進められ、系統的な指導が子どもたちの身になっている」としている。
檜山局では「オール檜山学び合いプロジェクトPlus」と称した研修を定期的に実施。本年度はICT活用に焦点を当てた研修を進めており、「今後も現場のニーズを把握し、整理しながら研修機会を充実させていきたい」と力を込める。
(市町村 2024-12-04付)
その他の記事( 市町村)
中札内中 性の多様性対応で8年度 ジェンダーレス制服導入 購入費は村教委が全額助成
【帯広発】中札内村立中札内中学校(森英樹校長)は、性の多様性に対応するとともにダイバーシティ社会の推進に向けて、8年度から性別にかかわらず選べるジェンダーレス制服を導入する。導入に当たり8...(2024-12-03) 全て読む
笑顔あふれる学校へ 真狩中 統合50周年記念式典
【小樽発】真狩村立真狩中学校(石川周亨校長)は11月上旬、同校で旧真狩中と旧御保内中学校の統合50周年記念式典を執り行った。村内外から83人が出席し、統合50年の歩みを祝うとともに、今後の...(2024-11-29) 全て読む
北竜町 義務教育学校施設整備方針 真竜小と北竜中を統合 図書館など社教施設を一体化
【岩見沢発】北竜町は、11年度に開校を目指している義務教育学校について施設整備方針をまとめた。真竜小学校と北竜中学校を統合するほか、公民館や図書館、郷土史料館など、学校と社会教育施設を一体...(2024-11-29) 全て読む
当別町教委 6年度全国学力等調査 小学校国語 全国以上 2.3P超 「書くこと」で成果
当別町教委は6年度全国学力・学習状況調査の結果を公表した。小学校国語の平均正答率は70・0%と全国平均を2・3ポイント上回り、特に「書くこと」の領域で大きく上回った。ICT機器を活用して家...(2024-11-26) 全て読む
帯広市教委 6年度全国学力等調査 中学校 2教科全国超 校種間連携で授業改善等推進
【帯広発】帯広市教委は6年度全国学力・学習状況調査の結果を公表した。小学校では2教科とも全国平均を下回ったものの、中学校は2教科とも全国平均を上回り、国語で1・6ポイント、数学で0・4ポイ...(2024-11-21) 全て読む
深川市教委と一已中 公開研究会 ICT活用 研究の成果共有 公開授業や講演会 150人研鑚
【岩見沢発】深川市教委と一已中学校(髙杉直人校長)は1日、同校で6年度市教育推進校事業公開研究会を開催した。空知管内教育関係者をはじめ、管外などから約150人が参加。公開授業や講演会を通じ...(2024-11-19) 全て読む
JDMA創造性コンテストで金賞 発電靴で被災者を支援 安平町追分中の生徒3人
【苫小牧発】安平町立追分中学校(三品秀行校長)の2年生3人が、日本デザインマネジメント協会(JDMA)の「創造性コンテスト」で最高賞の金賞を受賞した。災害時に避難所で走り回る子どもや電力不...(2024-11-19) 全て読む
実践的安全教育拠点校の浜中霧多布中 地震・津波から命守る 町の訓練参加や防災小説執筆
【釧路発】浜中町立霧多布中学校(沼田卓二校長)は1日、巨大地震と大津波の発生を想定した1日防災学校を開催した。町の総合防災訓練に参加したほか、災害との遭遇を想定して物語をつづる「防災小説」...(2024-11-12) 全て読む
後志管内初の義務校開校へ岩内町教委 教科指導と探究両輪に 西小と第二中で実践発表会
【小樽発】後志管内初の義務教育学校の8年度開校を目指す岩内町教委などが主催する公開実践発表会が10月31日、岩内西小学校(古館昭仁校長)と岩内第二中学校(庄司真人校長)で開かれた。両校が公...(2024-11-11) 全て読む
釧路市鶴野小 6年生キャリア学習 本物から得られる学び 釧路建親会が建設業紹介
【釧路発】釧路市立鶴野小学校(土居慎也校長)は10月29日、6年生を対象とした「未来への架け橋・総合学習」と題してキャリア教育を実施した。釧根管内の若手建設業経営者で組織する釧路建親会(山...(2024-11-01) 全て読む