【解説】大学全体の規模 適正化へ
(解説 2025-02-27付)

 阿部俊子文部科学大臣は25日の記者会見で、大学全体の規模適正化に向けた政策パッケージを夏ごろまでにまとめる考えを示した。急速な少子化が進む中、新たな評価制度の導入や縮小・撤退の支援を行うことで大学教育の質の向上や量的な確保を図る。

 大学進学者数は3年度の62万7000人から22年度には46万人まで減少することが予想されている。中教審は教育の質の向上、規模適正化、アクセス確保の三つの観点から今後の高等教育の在り方をまとめ、22日に文科大臣に手交した。

 答申の要点をみると「出口における質保証」のためにより厳格な成績評価や卒業認定の実施を促すほか、外国人留学生・社会人など多様な受け入れを推進することを提案。大学の規模適正化に向けて厳格な設置審査への転換を図るとともに、意欲的な教育・経営改革への支援、縮小・撤退への支援を併せて行う。

 大学の評価制度はこれまで、各大学の総合的な状況のみを対象としていたが、今後は学部・研究科ごとに段階評価で示す方法に切り替える。大学による情報公表も充実させ、各大学の情報を横断的に比較することができるUniv―map(ユニマップ)を構築する。

 地域ごとのアクセス確保を図るため、複数の大学が協働で教育研究や組織運営を行う「仮称・地域研究教育連携推進機構」を構築。入試、キャリア支援、施設の共同管理・調達などを連携して行う仕組みを検討する。

 25日の会見で阿部大臣は、提言の実施に向けて検討に着手する考えを示し「夏ごろをめどに10年程度の工程を政策パッケージとして示し、速やかに具体的な方策の実行に移れるよう取り組んでいく」と述べた。また、近年の物価高騰や人件費の変化を踏まえ、国立大学の授業料の在り方を検討するとした。

(解説 2025-02-27付)

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