【解説】優位性ない結果公表を(解説 2025-02-28付)
文部科学省は26日、全国学力・学習状況調査結果の取り扱いを検討するワーキンググループの第2回会議を開いた。委員からは、箱ひげ図(データの散らばりを示す統計図)の導入など自治体の優位性がないことを明確にする公表方法の見直しを提案。都道府県・指定都市の数値公表に関しては賛否があったものの、従来どおりの公表に賛成する意見が多数を占めた。
文科省は7年度の中学校の理科調査において、児童生徒ごとに異なる問題セットを割り当てて学力を分析するIRTを導入。9年度の全面的なCBT化を見据えた制度設計を進めて、エビデンスに基づく学習指導に向けて結果提供や公表方法の在り方を見直す。
会議では、現行の学習指導要領で「主体的・対話的で深い学びからの授業改善」が重視されていることを踏まえ、質問調査結果の一部を返却することを審議した。個人に質問調査を返却することに反対意見もあり「学級または学年内で子どもたちの学力と意識に関する状況が見える形で示してはどうか」との声が寄せられた。
依然として教科調査の正答率に注目が集まりがちであるため、自治体間の優位性を強調しない公表方法を審議。個人・学校などのばらつきの視覚化に向け、箱ひげ図などの統計図を導入することや、性別やSES(家庭の社会経済的背景と学力の関係性)による学力格差を示すことを提案した。
IRT導入の意義が現場に周知されていないことも懸念され「IRTは何かという共通理解・基礎理解が必要。自治体の担当者・指導主事には数理的な内容を含めて理解してもらう必要がある」と述べた。
3月11日の会議で一定の方向性を固め、5月に審議の取りまとめを行う。決定した事項は可能な範囲で7年度調査から適用する。
(解説 2025-02-28付)
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