【解説】自殺への関心 子・大人で差
(解説 2025-03-04付)

 こども家庭庁は2月28日、こどもの自殺に関する意識調査を公表した。子どもの自殺を社会課題の一つとして認識している割合は大人が62・0%、子どもが83・7%。大人よりも子どもの方が関心が高く、知識や問題意識を持っている割合も高いことが分かった。

 6年の小中高生の自殺者数が過去最多を記録する中、対策を推進する広報啓発のため実施した初の調査。全国の15~18歳の724人、19~59歳の1600人から回答を得た。

 自殺の可能性のある子どもへの対応について「具体的なことまで知っている」との回答は大人が4・6%、子どもが7・7%、「どちらかといえば知っている」では大人が16・3%、子どもが36・6%。国・自治体・NPOなど対応する相談先を知っている割合は大人が50・9%、子どもが72・4%とこちらも差があった。

 子どもにとって悩みや不安を相談しやすい相手は「親・保護者」が50・3%と最も多く、つぎに「話しやすい先生(45・0%)」「養護教諭・スクールカウンセラー(38・0%)」と続く。同年代が深刻な悩み・不安を持っている場合に起こり得る変化は「イライラしたり、気分が落ち込んだりする」「友人との関わり方が変わったり、身だしなみや生活習慣が乱れたりする」「自ら命を絶つことについて考えたり、関連する言動や行動を取る」が多かった。

 調査結果についてNPO法人OVA代表理事の伊藤次郎氏は、子どもにとって同世代の自殺関連行動がより身近な問題になっていると分析する。周囲の大人が変化に気付き、話を聞き、支援につなぐ役割が大切になるとし「保護者や学校関係者はもちろん、塾や習い事の先生、アルバイト先の大人など子どもと関わりのある大人が機能する施策を重点的に行うことも重要になる」と語る。

(解説 2025-03-04付)

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