【解説】学力把握 平均から分布へ
(解説 2025-03-13付)

 これまで学力調査結果の返却は夏休み直前の7月下旬に行われ、振り返りを効果的に行うことができない課題があった。スケジュール変更によって、個人面談での保護者共有、夏期休業期間における教員研修で結果を活用することが可能となり、9月以降の教育指導において効果的に役立てることが期待される。

 他方、都道府県・指定都市別の結果に関しては1ヵ月以上後ろ倒しで公表することになる。早期のデータ提供によって報道解禁までの過密なスケジュールの改善が予想され、児童生徒の学びの成果や課題、都道府県等における教育の特徴を明確化する十分な分析期間を確保する。

 全国知事会の指摘もあり、最大の焦点になっていた「都道府県・指定都市別の平均正答率の公表」には多くの委員が継続することに賛意を表明。平均正答率に注目しがちな風潮を是正するため、学力の分布や習熟度に目配りをした統計表・グラフを導入する方向性に大筋で合意した。

 委員からは、義務教育の機会均等の観点から学力を「平均」ではなく「分布」によって捉え、底上げを図っていく必要性を指摘。「平均値と分布の両方を公表し、徐々に分布も重視する方向に移行すると良い」「箱ひげ図によって都道府県間の分布を示せば差が小さいことを説明できるのではないか」と意見を述べた。

 7年度から試作する「都道府県・指定都市別ノート」は、OECDによる調査報告書「カントリーノート」を参考に、統計表・グラフの分析を踏まえた分析を記述によって示す。全都道府県で記載の充実を図るには相応の時間を要することが予想され、都道府県で作成する報告書にも影響を及ぼす可能性があるため、文科省は関係団体への意見照会を十分に踏まえた上で、内容を固めていくとしている。

(解説 2025-03-13付)

その他の記事( 解説)

【解説】部活動改革最終まとめ案

 スポーツ庁は12日の地域スポーツクラブ活動ワーキンググループで、8年度以降の部活動改革に向けた最終取りまとめ素案を示した。地域クラブ活動を担う運営・実施団体の役割・機能など個別課題の方向性...

(2025-03-14)  全て読む

【解説】保育士センター業務を法定化

 保育士人材を確保するため、国は保育士・保育所支援センター整備の法定化に向けた法改正を検討している。広報、研修、就労支援など都道府県が設置するセンターが担う業務を規定。指定都市・中核市では努...

(2025-03-12)  全て読む

【解説】書道 無形文化遺産に再提案

 無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議は、ユネスコ無形文化遺産(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)に書道を再提案することを決定した。3月末までにユネスコに提案書を提出し、評価機関による勧告...

(2025-03-11)  全て読む

【解説】主体性育む探究学習

 総合型選抜等の年内入試による大学入学者は全体の5割を超える状況となっている。明確な志望動機と入学後のビジョンが重要であることから、探究的な学びを進路活動に結び付け、生徒の主体性を育む取組の...

(2025-03-07)  全て読む

学校安全の中核教職員明記

 文部科学省は3日、「学校安全の推進に関する組織体制の整備と地域等との連携について」審議のまとめを公表した。複雑・多様化する学校の安全課題に対応する環境整備に向けた施策を提言。学校内外との連...

(2025-03-05)  全て読む

【解説】自殺への関心 子・大人で差

 こども家庭庁は2月28日、こどもの自殺に関する意識調査を公表した。子どもの自殺を社会課題の一つとして認識している割合は大人が62・0%、子どもが83・7%。大人よりも子どもの方が関心が高く...

(2025-03-04)  全て読む

【解説】優位性ない結果公表を

 文部科学省は26日、全国学力・学習状況調査結果の取り扱いを検討するワーキンググループの第2回会議を開いた。委員からは、箱ひげ図(データの散らばりを示す統計図)の導入など自治体の優位性がない...

(2025-02-28)  全て読む

【解説】大学全体の規模 適正化へ

 阿部俊子文部科学大臣は25日の記者会見で、大学全体の規模適正化に向けた政策パッケージを夏ごろまでにまとめる考えを示した。急速な少子化が進む中、新たな評価制度の導入や縮小・撤退の支援を行うこ...

(2025-02-27)  全て読む

【解説】「組織体組織」の関係へ

 人口減少や産業構造の変化を背景に、地域創生や地域産業の担い手となる人材確保に資する産学連携の重要性がより高まっている。3年度から始まった文部科学省のマイスター・ハイスクール事業では、道内で...

(2025-02-26)  全て読む

【解説】多忙化解消 求める声多数

 道教委は女性教職員の活躍推進に係るアンケート結果(管理職)をまとめた。管理職を志す女性教職員を増加させるために有効な取組は「教頭等の多忙化の解消」が78・6%と最も多くつぎに「人事上の配慮...

(2025-02-25)  全て読む