【解説】書道 無形文化遺産に再提案
(解説 2025-03-11付)

 無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議は、ユネスコ無形文化遺産(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)に書道を再提案することを決定した。3月末までにユネスコに提案書を提出し、評価機関による勧告を経て8年秋ごろの政府間委員会で審議・決定する。

 ユネスコ無形文化遺産は、グローバリゼーションの進展や社会の変容による衰退・消滅の脅威から無形文化遺産を保護することを目的にしており、各国における無形文化遺産に対する認知や文化遺産保護の重要性に関する認識の向上を図っている。

 平成16年10月にユネスコ総会で条約が採択され、日本は翌年に条約を締結した。締約国数は6年4月時点で183ヵ国。

 登録対象は、口承による伝統・表現、芸能、社会的慣習、儀式・祭礼行事、自然・万物に関する知識・慣習、伝統工芸技術など。わが国においては能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、伝統的酒造りなど23件が登録されている。北海道関連では平成21年にアイヌ古式舞踊が登録された。

 書道は筆、墨、硯、紙などの用具、伝統的な筆遣いなどで漢字や仮名を表す文字表現として、国内外におけるその歴史的・文化的価値の高さから選ばれた。

 国の文化審議会は前年度「書道」「和紙」「山・鉾・屋台行事」「伝統建築工匠の技」の4点を無形文化遺産への提案候補として選定していたが、申請は2年に1件と上限が定められていることから書道の審査が見送られていた。

 7日の記者会見で阿部俊子文部科学大臣は「書道は伝統的な文字表現であり、日本人の日常生活上の様々な場面で用いられるわが国の大切な文化。政府間委員会における決定を目指し、本件の登録に向けて準備を着実に進めていく」と今後の方針を示した。

(解説 2025-03-11付)

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