【解説】指導要領 一層の構造化へ
(解説 2025-02-19付)

 中教審の教育課程部会の特別部会は17日、学習指導要領の一層の構造化に向けた検討を開始した。各教科等における資質・能力の関係性や一体的な育成を明確化する「タテの関係」と「ヨコの関係」のイメージを提示。デジタル技術も効果的に活用しながら、教員が使いやすい記載の在り方を検討する。

 現行の学習指導要領は抽象的な表現や難解な用語が多く、資質・能力の深まりや資質・能力の複数の柱を一体的に育成するイメージがつかみにくいなどの課題がある。

 多くの子どもが分数・小数などの概念的な理解が進んでいない問題も。膨大な情報から特徴を抽出することに優れたAIが急速に発展していく中、「個別の知識の集積にとどまらない知識の概念としての習得や、深い意味理解を促す指導が一層重要になっていく」と指摘する有識者もいる。

 このため同部会では、次期学習指導要領における方向性の一つとして「目標・内容の一層の構造化」を掲げ、文部科学省からは主要概念の理解と知識・技能を関連付ける「タテの関係」と、知識・技能と思考力・判断力・表現力を関連付ける「ヨコの関係」のイメージが提案された。各教科等における中核的な概念を中心として目標・内容の明確化を図ることで、教師が授業のイメージを持ちやすくするよう改善を図る。

 デジタル技術を積極的に活用することで利便性の向上を図り、学習指導要領とデジタル教科書のひも付けやAIを活用した応答機能の利用なども視野に入れる。委員から民間サービスと連携して多様な教材にアクセスする指導要領のデータベース化が提案された。

 次回以降の会議では、柔軟な標準授業時数や単位授業時間の示し方、情報活用能力の抜本的充実に向けた方策などを検討する。

(解説 2025-02-19付)

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