【解説】半導体人材　道内で育成へ

（解説 2025-03-31付）

　道、札幌市、千歳市、北海道大学、公立千歳科学技術大学は、７～１５年度の９ヵ年計画で半導体人材の育成と研究拠点の整備に取り組む。北大では学部から大学院までの一貫した教育体制を構築するほか、主要な製造工程の実習を行う「半導体プロトタイピングラボ」を９年度までに整備。道内の大学・高専にも開放し、人材の育成体制を道内に波及させる。

　生成AIの急速な普及は情報処理の増加をもたらし、先端的な半導体の確保や計算需要を満たすサーバーの導入が不可欠に。道内の半導体・電子デバイス関連企業を対象に行ったアンケートによると、６年度の採用希望数は５０１人と５年度採用実績の２４１人から倍増し、需給ギャップが拡大している。

　ラピダス社の次世代半導体製造拠点のパイロットラインが４月から稼働する中、成長需要を取り込んで各産業の国際競争力強化につなげるためにも、情報処理の高度化に対応できるデジタル人材の育成が急務になっている。

　このため５者は７年度から産官学ネットワークを構築し、半導体関連産業の創出や人材の安定供給に着手。北大では７年度から実務家教員によるオムニバス形式の科目を開始するほか、９年度に工学部に人材育成プログラムを、１１年度に大学院共通先端半導体プログラムを新設する。

　新たに整備するラボは設計・前工程・後工程・評価に係る一連の流れが体験できるもの。９年度から各大学等の状況に応じて実習プログラムを提供する。

　千歳科技大では大学院DXコースと学部DXプログラムを新設。企業との共同研究に学生をリサーチ・アシスタントとして雇用し、データサインスに秀でた人材を育成する。今後、各自治体で関連予算案を議会に提出する予定。

(解説 2025-03-31付)