【解説】バリアフリー化 進捗に遅れ(解説 2025-04-03付)
令和2年のバリアフリー法改正で、公立小・中学校での車いす使用者用トイレ、スロープによる段差解消、エレベーターの整備が義務化された。段差解消といった物理的なバリアフリー化のほか、各階で異なる配色デザイン、外部の音や視線を遮断して気持ちを落ち着かせる「カームダウンルーム」の設置など、音響や心理面に配慮した工夫を講じる学校も現れている。
国は7年度末までにバリアフリートイレやエレベーターの整備率を100%とする目標を掲げ、補助率を3分の1から2分の1にかさ上げして支援を講じてきたものの、調査では7年度末までに目標達成予定の市町村は全体の1割にとどまることが分かった。
自治体間の進捗状況の差も大きく、校舎のバリアフリートイレ化は最も進んでいる大阪府で99・0%、最も低い鹿児島県で40・3%。エレベーターの設置率は最も高い滋賀県で70・3%、最も低い山口県で13・5%と50ポイント以上の開きがある。将来的な統廃合や大規模改修に合わせてバリアフリー化を検討している自治体は6割を占め、財政面も含めて計画上の課題になっている。
6月からバリアフリー法施行令改正による移動等円滑化基準が施行。2000平方㍍以上の新増改築を行う公立小・中学校で、これまで一つ以上の設置が必要だった車いす使用者用トイレを各階一つ以上の設置が求められることになる。
文部科学省の検討会議がまとめた報告書によると、現状のペースでは校舎バリアフリー化の目標達成に少なくとも10年以上、屋内運動場は20年程度かかる見通しを示している。このため、8~12年度も現行の整備目標を維持しつつ、全自治体で学校施設のバリアフリー整備に関する計画・方針の策定を促す必要があると指摘している。
(解説 2025-04-03付)
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